野菜や果物の残留農薬って危険なの?気を付けた方がいい食材は?

健康を守る

野菜とか果物の残留農薬って、
ぶっちゃけ大丈夫なの?

もし、あなたが
健康への関心が高い方であれば、
一度は気にしたことがあると思います。

というわけで、
今回は、
残留農薬と健康の関係」について、
取りあげたいと思います。

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今回の参考文献

まずは、
今回の参考文献を上げておきます。

Helena Sandoval-Insausti, Yu-Han Chiu, Yi-Xin Wang, Jaime E.Hart, Shilpa N.Bhupathiraju, Lidia Mínguez-Alarcón, Ming Ding, Walter C.Willett, Francine Laden, Jorge E.Chavarro(2022).
Intake of fruits and vegetables according to pesticide residue status in relation to all-cause and disease-specific mortality: Results from three prospective cohort studies
Environment International, Volume 159, 15 January 2022, 107024
/https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412021006498?via%3Dihub

この文献は、
残留農薬の入った野菜や果物を食べた量」と
病気による死亡率」の関係を調査したものです。

調査期間は1998年~2019年と
なかなか大がかりな研究となっております。

というわけで、
くわしく見ていきましょう。

「高濃度の」残留農薬は、健康に影響を与えるかも!?

では、結論から行きましょう!

高濃度の残留農薬は、
 健康に影響を与える可能性がある。

というのが今回の結論です。

まず、
「農薬」に関する事実として、
農業従事者の方々は、
農薬にひんぱんに、さらされるによって、
「発がんリスク」や「死亡率」が高まる

ということはよく知られています。

つまり、
農薬=体に悪い」
というのは、
皆さんがうすうす感づいている通り、
間違いではありません。

じゃあ、スーパーで売ってる
 野菜とか果物は大丈夫なの!?

 残留農薬って聞いたことあるけど!?

という心配に至りますよね。

さらに
本文献のネタバレをしておくと、

「高濃度の残留農薬は、
 その野菜や果物を食べる健康上のメリットを
 相殺してしまうかもしれない」

ということになっています。

まだ、これだけでは、
ちょっとピンとこないですよね。

高濃度の」というところがポイントです。

それでは、
くわしく見ていきましょう。

残留農薬が多い食材と少ない食材

まず、はじめに
「残留農薬の多い食材」と
「残留農薬の少ない食材」があるって
ご存じでした?


スーパーに売られている野菜や果物には、
残留農薬がたくさん含まれる食材」と
残留農薬が少ない食材
があるのです。

一般的に、
残留農薬がたくさん含まれる食品」だと、
「イチゴ」や「ホウレンソウ」「モモ」
などですね。

逆に、
残留農薬が少ない食品」だと、
「アボカド」や「パイナップル」「キャベツ」
などがあります。

この「残留農薬がたくさん含まれる食品」には、
もしかしたら、少し注意が必要かもしれない

というわけですね。

ちなみに
残留農薬基準値検索システム
というものがあるので、
食品と残留農薬の関係について、
個人で調べることも可能です。

また、
アメリカの環境保護団体『EWG』が、
残留農薬が多い食品と少ない食品
教えてくれています。

残留農薬が多い野菜・果物」は
↓の通りです。

イチゴ、ホウレンソウ、ケール、
梨、ネクタリン、リンゴ、ブドウ、
唐辛子、サクランボ、ブルーベリー
モモ、ナシ、セロリ、トマト、インゲン

逆に、
残留農薬が少ない野菜・果物」は
↓の通りです。

にんじん、すいか、サツマイモ、
マンゴー、キノコ、キャベツ、
キウイ、ハニーデューメロン、
アスパラガス、スイートピー、
パパイヤ、玉ねぎ、パイナップル
スイートコーン、アボカド

ぜひ、スーパーで買う時に、
参考にしましょう。

それでは、
論文の内容に入っていきましょう。

「残留農薬の少ない野菜や果物」は「死亡率を下げる」

まずは、
残留農薬が少ない食材」について
見ていきましょう。

本文献の報告によれば、

残留農薬の少ない野菜や果物の摂取量は、
 死亡率と反比例した
。」

とされています。

つまり、
残留農薬の少ない野菜や果物」は、
多く食べた方が、体に良い

傾向があるということですね。

「少しの農薬の害」よりも、
「野菜や果物を食べることで得られるメリット」の方が
大きいということでしょう。

細かくデータを見てみると、
1日当たり3.5食分程以上の食べると、
死亡率は、ほぼ横ばいになるようです。

一つの目安が出てきましたね。

1日250gの果物や野菜です。
くれぐれも農薬の少ない野菜ですよ!

「残留農薬の多い野菜や果物の摂取」と「死亡率」は無関係

次は、
「残留農薬が多い食材」について
見ていきましょう。

こちらは少し複雑で、

残留農薬が多い野菜や果物の摂取量は、
 死亡率と非線形関係であった
。」

とされています。

「非線形関係」というのは、
比例関係ではないということですね。

つまり、
残留農薬を多く含む野菜や果物については、
食べすぎるのは、よくなさそうだ

というわけですね。

そして、
この結果から推測されるのが、

食材に多く含まれている残留農薬が、
 野菜や果物から得られるメリットを
 相殺してしまうのかもしれない。

ということです。

しかし、誤解してはいけません。

「残留農薬がたくさん含まれる食材」も
全く食べてはいけないということではないのです。

くわしく、データを見てみると、
「残留農薬を多く含む野菜や果物」では、
1日当たり1.5食分程の摂取によって、
最も死亡率が下がる傾向にあることが
分かります。

それ以上の摂取だと、
死亡率が上がっていって
しまっているように見受けられます。

やはり、
様々な食材をかたよりなく、
少しずつ摂取することが
健康にはよさそうだということなのでしょう。

というわけで、
残留農薬が多そうな野菜や果物は、
1日1食分くらいにとどめておきましょう。

とりあえず、
イチゴのドカ食いを毎日している方は、
少し控えた方がいいかもしれませんね。

残留農薬は、「内分泌かく乱物質」

今回の論文の内容としては、
ここまでですね。

しかし、
残留農薬の安全性」について、
少し踏み込んでおきましょう。

論文の締めくくりにも記されていますが、
「農薬暴露の長期的な健康への影響についてはさらなる証拠」が
必要であると、問題が提起されています。

というわけで、
ここでは、
農薬の長期的な健康への影響」についても、
少しふれておこうと思います。

「農薬」は、
いわゆる「内分泌かく乱物質」としての疑いがある
化学物質です。

さぁ、「内分泌かく乱物質」とは何でしょう?

という方は、
↓の関連記事をぜひご覧ください。

「農薬」の姿を借りた
「内分泌かく乱物質」は、
野菜や果物を通して、
あなたの体の入り込んできます。

「内分泌かく乱物質」は、
あなたの体の中で、
「ホルモン物質のふり」をします。

あなたの体内のさまざまな器官は、
「ホルモン物質のふり」をした侵入者によって、
混乱させられてしまいます。

メジャーなホルモンで言えば、
「男性ホルモン」や「女性ホルモン」が
身近なホルモンですよね。

さて、
「男性ホルモン」や「女性ホルモン」が、
混乱させられてしまった場合、
何が起きるでしょうか?

もし、
「内分泌かく乱物質」のせいで、
これらのホルモンの過剰分泌が起きれば、
最悪の場合、
「精巣がん」や「乳がん」のリスクと
なり得ることも完全に否定できないわけです。

怖いですよね。。。

しかし、残念ながら、
人体実験をするわけにもいきませんので、
安全性のデータが十分にあるわけでもありません。

そして、
安全性のデータが十分にないうちは、
政府によって規制が行われることもありません。

なので、
できるだけ、
「残留農薬には気を付けた方がいいかも!」
という話になるわけですね。

わざわざ
有機野菜を選んでいる人たちは、
別に変なことをしているわけではないんですね(笑)

そういった人たちは、
政府がいつでも我々を守ってくれるわけではないことを
しっかりとわかっているわけです。

さいごに

今回は、
野菜や果物に含まれる
残留農薬と病気による死亡率の関係について、
見てきました。

結論としては、
農薬には、害はあるが、
 食品に含まれる残留農薬は微量なので、
 野菜や果物を食べることで得られるメリットの方が
 大きいだろう」

というところでしょうか。

少なくとも、
普通に食べている分には、
残留農薬の影響によって、
癌や脳卒中のリスクが、はね上がることは
なさそうです。

ただし、
文献にも記載がありましたが、

農薬のより長期的な健康への悪影響については、
まだデータが不足しています。

内分泌かく乱物質」の研究が、
なかなか進まないせいですね。

ですので、
残留農薬の本当の危険性については、
実際には、不明な部分も多いということも

忘れてはなりません。

残留農薬の長期的な健康への影響については、
↓の記事にまとめています。

イチゴやリンゴなど、
高残留農薬の野菜や果物については、
有機栽培のものにこだわってみるのも
いいかもしれませんね。

今後も調査を継続していきたいと思います。