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『外国産の肉は危険』はウソ?ホルモン剤とか抗生物質って安全なの?

その食品、安全性は?

なんとなくですが、

国産のお肉は安全だけど、
外国産の肉は危ない

という気はしませんか?

この刷り込みの正体って
いったい何なのでしょうか。

その一つの原因として、
考えられるのは、
国によって、
ホルモン剤や抗生物質の使い方に対する
規制が異なっている

ということではないでしょうか。

おそらくこれが、
外国産のお肉は危ない
という疑念の正体の一つだと思います。

では、
ホルモン剤や抗生物質というのは、
本当に危ないものなのでしょうか?

今回は
家畜のホルモン剤や抗生物質は危ないのか?
について、取り上げようと思います。

本記事には少し古い内容が含まれます。

「ホルモン剤」については、

「抗生物質」については、

が最新の情報になっています。

どんどん知識をアップデートしていきましょう!

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今回の参考文献

今回の参考文献は、

Sang-Hee Jeong, Daejin Kang, Myung-Woon Lim, Chang Soo Kang, Ha Jung Sung(2010)
Risk Assessment of Growth Hormones and Antimicrobial Residues in Meat
Toxicol Res. 2010 Dec; 26(4): 301–313.
/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3834504/

です。

こちらは、
お肉に使われる
「ホルモン剤」や「抗生物質」の健康へのリスクについて
レビューされた文献です。

「ホルモン剤」や「抗生物質」は安全なのか

まずは、結論からです。

ホルモン剤については、
基本的には、安全である

とされています。

一方で、
抗生物質については、
どうやら、まだ議論の余地がある

ということになっています。

「抗生物質」の方は
完全に安全とは言い切れないわけですね。

さあ、くわしくみていきましょう。

家畜の成長をはやめるために使われるホルモン剤や抗生物質

そもそも、
なぜ、家畜を育てるときに、
「ホルモン剤」や「抗生物質」が
使われるのでしょうか。

それは、
「家畜の成長をはやめる」ためです。

家畜の成長がはやいと、
生まれてから食べられるまでの

サイクルが短くなります。

そして、
短い期間で多くのお肉が
出荷できるようになります。

資本主義って残酷ですね。
命は大切にいただきましょう。

さて、
「ホルモン剤」を使えば、
成長がはやくなるのは、
なんとなくわかりますね。

一方で、
「抗生物質」を使うことによっても、
家畜の成長が
はやまることもわかっているのです。

なぜ?というのは
少し難しいので割愛します。

しかし、
抗生物質」は、
病気を治すために使われるものですよね。

なので、
本来の使い方をしていないわけです。

「抗生物質」は、
みなさんも風邪をひいたときに
飲んだことがあるかもしれませんね。

その時に
「飲みすぎてはいけない」とか、
「勝手に飲むのをやめてはいけない」とか、
いろいろと注意されませんでしたか?

これは、
家畜にも同じことが言えるのではないか?
というわけです。

ホルモン剤の人体への影響について

まずは、
「ホルモン剤」について
見ていきましょう。

実は、
一般的に使われる
ホルモン剤には、
・天然型
・合成型
の2つの種類があります。

「天然型」は、
もともと人や動物の体の中にあるホルモンから
作られたホルモン剤です。

なんとなく、体にはよさそうですね。

一方、
「合成型」は、
化学的に合成されたホルモン剤です。

こちらの方は、なんだか体に悪そうです。

天然型ホルモン剤は安全?

「天然型ホルモン剤」としては、
・エストラジオール
・プロゲステロン
・テストステロン
などの種類があります。

「天然型ホルモン」については、
遺伝子毒性を有する可能性がある

と言われていますが、

・口から食べることにより、活性がなくなる。
・一日に体内で作られる量に比べると、
 お肉から摂取する量はかなり少ない。

などの理由から、
人体への影響は、無視できるほどである
という結論となっています。

合成型ホルモン剤は安全?

「合成型ホルモン剤」としては、
・ゼラノール
・トレンボロン
・酢酸メレンゲストロール
などが挙げられます。

合成型ホルモン剤」については、
遺伝子毒性を有しない
とされています。

しかし、
食べると、
エストロゲン作用を示すことが
指摘されています。

エストロゲン作用を示す」というのは、
体内のホルモン作用を混乱させてしまうということです。

よくわからないかもしれませんが、
実は、けっこう危ないものです。

くわしくは↓の記事にまとめています。
まだの方は、目を通しておきましょう。

というわけで、
「合成型ホルモン剤」については、
体に良くないということです。

そこで、
お肉への
「残留基準」と「一日摂取許容量」が
決められています。

ですので、ひとまず、
畜産業者さんの方で
ルールが守られている限りは、
安全である

と考えてもよさそうですね。

抗生物質の人体への影響について

「抗生物質」については、
少し話が複雑です。

まずは、
「抗生物質」そのものの人体への影響についてです。

これは、
すでに多くの国で
ヒトの腸内細菌叢への
影響が十分に調べられています。

その結果を受け、
お肉への
「残留基準」と「一日摂取許容量」が
定められている
ため、
こちらも懸念は小さいとされています。

しかし、
やはり、ここで、
焦点が当てられているのは、
耐性菌」についてです。

「耐性菌」というのは、
「抗生物質」の乱用によって、
逆に耐性をもって強くなってしまった
病原菌のことです。

この「耐性菌」が
人間の健康に害を与えるのではないか
という指摘があるわけですね。

しかし、
研究によっては、
「耐性菌」が人の健康に影響を及ぼすリスクは
非常に低いと報告するものもあります。

逆に、
へたに「抗生物質」を使わなかった場合、
無症状の病気だった牛や豚のお肉を
病気と知らずに出荷してしまう
というリスクもある
と言われています。

そうなれば、
悪気はないのに、
妙な病気を広めてしまうことにも
なりかねませんもんね。

そのため、
抗生物質の使用中止は、
動物と人間の両方の健康に

有害でさえあるかもしれない
とされています。

こういった観点から、
抗生物質の人体への影響については、
議論が継続している

というわけですね。

つまり、
「抗生物質」については、
「使うリスク」もあるし、
「使わないリスク」もある

という結論となるかと思います。

さいごに―国産やEU産なら安心?

今回は、
家畜を育てる時に使われる
ホルモン剤や抗生物質について
見てきました。

話をまとめると、

「ホルモン剤」については、
危ない種類のものは、
「残留基準」と「一日摂取許容量」が
定められているので、
健康への影響は小さいと考えてもよさそうです。

「抗生物質」についても、
「残留基準」と「一日摂取許容量」が
定められているので、
「抗生物質」自体の、
人体への影響は大きくなさそうです。

ただし、
「抗生物質」の使い方については、
議論やリスク調査の余地が残されているようです。

といったところでしょうか。

ひとまず、
「ホルモン剤」や「抗生物質」による
人体への影響は限定的である

ということは、
わかっていただけたかと思います。

それを踏まえたうえで
「EU」は、
・「ホルモン剤」を使用した食肉を輸入禁止にしたり
・「抗生物質」の成長をはやめる目的での使用を規制したり
ということを進めています。

「日本」国産についても、
・「抗生物質」の成長をはやめる目的での使用は、
 完全には禁止されていないようですが、
・「ホルモン剤」の使用は禁止されています。

ですので、
やっぱり、どうしても、気になる!
という方は、
「国産」や「ヨーロッパ産」の
お肉を選んでみても
いいかもしれませんね。

何年、何十年とたった後に
正しかったと思う日が来るかもしれません。