今回は、
『怪獣8号』のレビューです。
『怪獣8号』はつまらない!?
はじめに、
私は、コミックで『怪獣8号』を追いかけており、
わりと好きな作品の一つです。
しかしながら、
本作は、ネット上では、
”つまらない”という反応も多いようですね。
今回は、
「なぜ、『怪獣8号』は、つまらないと言われるのか」
をテーマにしていきます。
本作は、曲がりなりにも、
「次来るマンガ大賞」でも取り上げられた秀作でもあります。
ですので、
単純に”つまらない”ということはないはずですが、
”途中から、失速した”という感想には、
うなずける部分もあると思います。
それでは、
くわしくレビューしていきます。
『怪獣8号』のココが、つまらない!?
”仕掛け”が、ことごとくパクリっぽい!?
さて、
本作を読んでいて、確かに感じるのは、
「仕掛けが、ことごとくパクリっぽい」ことです。
実は、
本作の”物語を面白くするための仕掛け”には、
ほぼ”すべて”と言ってもいいほどに、
「他の作品で見た気がする!」という感想を覚えてしまうのです。
もちろん、
すべての現代作品は、
過去に培われた表現技法を土台にして出来上がったものです。
ですので、
私は、誰かが必死の思いで生み出した作品に対して、
何かのパクリだとケチをつけるつもりは、一切ありません。
しかし、
本作を”つまらない”と言わしめてしまう点は、
そのほぼ”すべて”の仕掛けに対して、
「何かしらの作品で見た気がする」という既視感を覚えてしまう点です。
たいていの作品は、
過去の何かしらの作品の設定をうまく借り受けながら、
”オリジナルの要素”で人気を博しています。
では、
「『怪獣8号』の”オリジナルの要素”」とは、
一体、何なのでしょうか。
実は、私には、
これをどうしても、見つけることができないのです。
本作の初撃の仕掛けは、
なんといっても、
凡庸な主人公が、怪獣に変身し、絶大な力を得る点です。
しかし、この設定は、
『進撃の巨人』と、丸かぶりしてしまっているのです。
これについては、
怪獣(巨人)である事実が、
知れ渡った後の展開までがワンセットです。
確かに、本作は、
”やたらと戦闘力の高い幼馴染キャラクター”などの設定を含め、
パクリと言われても仕方ないほどに、
『進撃の巨人』を想起がさせる部分が多いのです。
そして、
本作の魅力の一つである、
「主人公:日比野カフカ」の包容力のあるかっこいいお兄さんキャラにも、
やっぱり、何かの作品で見た気がする感を、強く覚えてしまいます。
入隊試験のくだりについても、
『僕のヒーローアカデミア』の入学試験の様子が、
どうしても、頭にちらついてしまいます。
さらには、
防衛隊の組織や主要キャラクターへの固有装備の割り当ての設定などには、
ものすごく『BLEACH』っぽさを感じてしまいます。
おそらく、
この辺りの少年漫画的なキャラクターのかっこいい”魅せ方”については、
過去の人気作のヒットを経て、
最適化されたテンプレのようなものが編集者側にもあるのでしょう。
そして、極めつけに、
本作の中心ともいえるバトル要素については、
もはや、『ワンパンマン』の焼き増しを見ているかのようです。
ここまで、
見てきてわかるように、
おおよそ『怪獣8号』には、
”オリジナルの要素”による面白さが見当たらないのです。
しかし、
これだけの面白い過去作品の”仕掛け”を借り受けて、
うまくつなぎ合わせているため、
そこには、間違いなく、安定した面白さが確立されているのです。
ですので、
本作は、
読者を魅了するような強い魅力を持ち合わせていないものの、
安定して物語を楽しめる要素が、
ぎっしりと詰まった秀作だと言えるのです。
また、うまく笑いのツボも抑えられている点には、
作者の松本直也先生のセンスの高さを感じます。
ガチンコバトル要素が退屈に感じる!?
さて、
次に本作を”つまらない”と感じさせる点としてあげたいのが、
「ガチンコバトル要素を退屈に感じてしまう」点です。
昨今では、
『ハンター×ハンター』が火をつけたことをきっかけに、
『呪術廻戦』を始めとした説明の多い能力モノの複雑なバトル作品が、
台頭してきています。
そんな中で、
『怪獣8号』は、
次から次に現れる怪獣を力と技だけで倒すガチンコバトルが、
ひたすら続けられるだけの無骨な作品なのです。
私の知る限り、
現在、純粋なガチンコバトル作品として、
人気を博しているのは、『ワンパンマン』のみです。
それも少しずつ飽きられている感は否めないですが・・・。
それだけ、
漫画界において、ガチンコバトル作品枠に用意されている”椅子”は、
少ないということです。
ガチンコバトル作品には、
”とにかくわかりやすい”という強みがある反面、
”展開が単調になりやすい”という表裏一体の弱点があります。
そのため、
ジャンルを問わず、面白い作品があふれる昨今、
ガチンコバトル作品は、
あっさりと飽きられてしまう運命にあります。
実際のところ、
『怪獣8号』については、
ミステリアスな怪獣9号の暗躍や、キャラクターの魅力により、
その人気がつなぎとめられている状況にあると思っています。
残念ながら、
『怪獣8号』についても、ガチンコバトル作品である以上、
一歩間違えれば、すぐに飽きられてしまうはずです。
そして、
一部の漫画通な読者からしてみれば、
『怪獣8号』は、すでに飽きてしまった、
”途中から失速したオワコン作品”という位置づけに、
なってしまっていることでしょう。
ただ、
『鬼滅の刃』や『東京卍リベンジャーズ』然り、
昔よりも、一つ一つの作品の寿命が短くなっているのも、
まぎれもない事実なのです。
漫画家さんの最も脂がのった時期に、
一時の週刊誌の人気のためだけに作品の物語をずるずる引き延ばすことは、
結局、漫画家さんの将来をつぶすことになるという話は、
よく聞かれます。
故・鳥山明先生が、その模範例だとされています。
本作についても、
引き際だけは、うまく見定めて、
最高のタイミングで幕引きを迎えてほしいものだと願っています。
『怪獣8号』ってどんな作品?
『怪獣8号』の原作情報
- 作者: 松本直也
- 出版社: 集英社
- 掲載サイト: 少年ジャンプ+
- レーベル: ジャンプ・コミックス
- 発表期間: 2020年7月3日 –
- 巻数: 既刊13巻(2024年7月現在)
『怪獣8号』のアニメ作品情報
- 監督: 宮繁之、神谷友美
- シリーズ構成: 大河内一楼
- 脚本: 大河内一楼
- キャラクターデザイン: 西尾鉄也
- メカニックデザイン: 常木志伸(※メカデザイン)
- 音楽: 坂東祐大
- アニメーション制作: Production I.G
- 放送局: テレビ東京系列ほか
- 放送期間: 第1期:2024年4月13日 – 6月29日
- 話数: 第1期:全12話
『怪獣8号』のアニメ作品キャスティング
- 日比野カフカ/怪獣8号:福西勝也
- 亜白ミナ:瀬戸麻沙美
- 市川レノ:加藤渉
- 四ノ宮キコル:ファイルーズあい
- 保科宗四郎:河西健吾
- 古橋伊春:新祐樹
- 出雲ハルイチ:河本啓佑
- 神楽木葵:武内駿輔
- 小此木このみ:千本木彩花
- 四ノ宮功:玄田哲章
- 中之島タエ:田村睦心
- 穂高タカミチ:杉田智和
- 水無瀬あかり:稗田寧々
- 五十嵐ハクア:風間万裕子
- 斑鳩亮:古川慎
- 怪獣9号:吉野裕行
- 怪獣10号:三宅健太