今回は、
私の好きなアニメ『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』をレビューしていきます。
『無職転生』は、とても面白い作品です。
しかし、それと同時に
“きつい”作品であるとも思います。
今回は、”面白くもきつい”本作の魅力を
掘り下げていければと思っています。
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は、ココがきつい!?
ちょっと下ネタがきつい!?
よくも悪くも、
『無職転生』の大きな特徴の一つと言えば、
”ちょっと下ネタがきつい”ことです。
本作の主人公である、
ルーデウスは、高校時代から引きこもりを続けてきた、
34歳のニートの生まれ変わりです。
そんなルーデウスの心の声(”前世の男”役)は、
杉田智和さんが熱演してくれています。
杉田さんの遊びの効いた演技のおかげで、
多少マイルドになっているとは言え、
ひいき目に見ても、
やはり、本作の下ネタはややきつめでしょう。
ただし、
本作のきつい下ネタは、
単なる製作者側の趣味によるものだけではないと、
私は思っています。
先ほども触れたとおり、
本作の主人公は、高校時代から引きこもりを続けてきた、
34歳のニートの生まれ変わりです。
その属性から、ルーデウスの内面には、
どのようなことが起きていると想像できるでしょうか。
おそらく、彼の心の中は、
“ゆがんだ欲求が渦巻いており、人生を半分投げている状態”なのではないでしょうか。
そんな彼にとっては、
異世界での再チャンスは、
いわば、半分ゲームのようなもので、
“やりたいことをやりたいようにやってやれ!”と
投げやりに考えている節があるのではないか、と想像できます。
そういった彼のすさんだ心の状態からの産物として表現されているのが、
やや”きつめの下ネタ”なのではないでしょうか。
物語の中では、冗談めかして、表現されていますが、
家庭教師のロキシーの下着を盗むなどという常軌を逸した行為は、
現代社会のものさしで考えれば、
子どものいたずらだと言えども、
立派な罪に問われてしまいそうなものです。
さて、本作のテーマの一つは、
やはり、一度レールから外れてしまった哀れな男の成長です。
確かに、
「『無職転生』は、主人公が気持ち悪い」と
揶揄されることもあります。
しかし、
ルーデウスのきつめの下ネタは、
半分、人生を投げてしまっていた彼の成長を描く上で、
欠かせない重要なスパイスであるとも私は思うのです。
その証拠に、物語が進み、
ルーデウスの”本気で生きる”覚悟が固まるにつれ、
表出的な下ネタ表現そのものは少しずつ減っているはずです。
そういったところからも、
ルーデウスの成長を感じ取れるのではないでしょうか。
ただし、そうは言ったものの、
やはり、きつい下ネタを誰かと一緒に見るのは、
なんだかんだで気まずいものです。
『無職転生』の面白さを余すことなく、感じたいならば、
一人で静かな時にゆっくりと視聴した方が良さそうですね。
おかげで、私は、
いつも最新話がなかなか見られなくて困っています(笑)
ルーデウスの人生を追体験するのがきつい!?
おそらくですが、
『無職転生』を見て、多くの人は、多かれ少なかれ、
作中のどこかで、胸をえぐられるような感覚を覚えることがあるのではないでしょうか。
それは、
やはり、人は誰しも、
大なり小なり、人生において、
何かしらのつらい失敗や挫折を経験しているはずだからです。
そんな私たちは、
ルーデウスの物語を追体験することで、
無意識の内に、彼に自分自身を重ねてしまうのだと思います。
その時に感じる胸の痛みが、
どうしようもなく、”きつい”と感じてしまうのです。
私も、
過労で2年以上、仕事を休職し、
約1年の間をベッドの上で過ごす苦い経験をしたことがあります。
そんな長い長い休職中に出会ったのが、
『無職転生』でした。
思えば、
私も本作に、もう一度苦難に立ち向かう勇気を
もらった一人なのかもしれません。
もちろん、
ルーデウスの前世の男の経験に比べれば、
私の体験など、大した失敗ではありません。
しかし、
そんな先の見えないトンネルで出口を探してもがくような経験をしたからこそ、
一度は、完膚なきまでに打ちのめされたルーデウスの心の成長に、
共感し、胸を打たれるのだと思います。
くり返しになりますが、
人間、生きていれば、
大なり小なり、人生において、
一度や二度は、何かしらのつらい失敗や挫折を経験しているはずです。
そんなすべての人にとって、
本作は、胸に刺さる”きつい”作品になるのだと思います。
もしかしたら、
本当に順風満帆に生きてきた人にとって、
『無職転生』は、世にあふれた、
ただの退屈な異世界ファンタジーの内の一つだとしか
感じられないかもしれません。
今の私からすれば、
本作を楽しむことすらできないような完璧な人生は、
少しさみしいのではないかとすら思えるようになりました。
やはり、
人は大きな失敗や挫折をした時に、
初めて、自分の人生に真剣に向き合い、
”本気で生きる”ことを始めるのではないでしょうか。
余談になるかもしれませんが、
第2期1クール目の
オープニングの主題歌である、
LONGMANさんの『Spiral』の曲は、
『無職転生』のストーリーにとても合致していると感じました。
MVを初めて拝見したときには、
不覚にも涙が出てしまう程、感動しました。
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は、やっぱり面白い!
さて、今回は、
「『無職転生』の”きつさ”」に主眼をおいて、
作品のレビューをしてみました。
どんなに”きつい”と言われても、
本作は、やっぱり面白いの一言に尽きます。
『無職転生』の物語が進むにしたがって、
ルーデウスのライフステージも変わっていき、
これから、彼は、人生のいろいろな問題に直面していくはずです。
自分自身の人生を
そんなルーデウスの物語に重ねながら、
本作を楽しんでいけるという点が、
本作の大きな魅力の一つなのではないかと私は思っています。
かつて、
2ちゃんねるで「CLANNADは人生!」という
ネットスラングが流行しました。
それになぞらえる形になりますが、
私は、きっと本作のすべてを見終えた時、
「『無職転生』こそ、人生だった!」
と一人で感じているのではないかとすら思えています。
少し褒めすぎてしまったかもしれませんが、
「下ネタがきつい・・・」
と本作を早々にリタイアしてしまった人がいたとしたら、
ぜひとも我慢して、
見直してみていただければ、うれしいです。
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』の概要
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』の基本情報
- ジャンル: 異世界ファンタジー、なろう系
- 原作: 理不尽な孫の手によるライトノベル作品
- 放送期間:
- 第1期第1クール:2021年1月11日 – 3月22日
- 第1期第2クール:2021年10月4日 – 12月20日
- 第2期第1クール:2023年7月3日 – 9月25日
- 第2期第2クール:2024年4月8日 –
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』の声優陣
- ルーデウス・グレイラット(主人公)
声優:内山夕実さん - 前世の男(34歳無職童貞引きこもりニート)
声優:杉田智和さん - ロキシー・ミグルディア(ルーデウスの家庭教師)
声優:小原好美さん - シルフィエット/フィッツ(エルフの少女)
声優:茅野愛衣さん - エリス・ボレアス・グレイラット(ルーデウスの再従姉)
声優:加隈亜衣さん - パウロ・グレイラット(ルーデウスの父親)
声優:森川智之さん - ゼニス・グレイラット(ルーデウスの母親)
声優:金元寿子さん - リーリャ・グレイラット(ルーデウスの生家のメイド)
声優:Lynnさん - ノルン・グレイラット(ルーデウスの妹)
声優:会沢紗弥さん - アイシャ・グレイラット(ルーデウスの妹)
声優:高田憂希さん
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』の主題歌
- 1期 (1話~8話) OP: 「旅人の唄」 – 大原ゆい子
- 1期 (10話~13話) OP: 「目覚めの唄」 – 大原ゆい子
- 1期 (14話・15話) OP: 「継承の唄」 – 大原ゆい子
- 1期 (16話~18話) OP: 「祈りの唄」 – 大原ゆい子
- 1期 (19話~21話) OP: 「遠くの子守の唄」 – 大原ゆい子
- 1期 (22話・23話) OP: 「旅人の唄~帰郷~」 – 大原ゆい子
- 1期 1クール ED: 「オンリー」 – 大原ゆい子
- 1期 2クール ED: 「風と行く道」 – 大原ゆい子
- 2期 1クール OP: 「spiral」 – LONGMAN
- 2期 1クール ED: 「ムスビメ」 – 大原ゆい子
- 2期 (0話) ED: 「Clover」 – 大原ゆい子
- 2期 (12話) ED: 「花咲み」 – シルフィエット (茅野愛衣)
- 2期 2クール OP: 「オン・ザ・フロントライン」 – ヒトリエ
- 2期 2クール ED: 「守りたいもの」 – 大原ゆい子