記事内に広告が含まれています。

ラクトパミンって体に悪いの?輸入肉が食べたくなくなる話

その食品、安全性は?

あなたは、
「国産のお肉」と「輸入のお肉」
どちらを選んでいますか?

えっ?とりあえず、
安いお肉ですか?

確かに、
品質が同じなら、
安いお肉を選ぶのが賢いですよね。

品質が同じなら・・・

実は、国によって、
お肉を育てる時に使ってもいい薬剤には、
違いがあるんです!

今回は、
国によって、「許可と禁止」が分かれている
ラクトパミン」という薬剤について、
取り上げようと思います。

それでは、今回は、
ラクトパミンの安全性
について、見ていきましょう。

スポンサーリンク

ラクトパミンは、安全とは言い切れない!?

今回の結論は、
ラクトパミンは、安全とは言い切れない」です。

「ラクトパミン」の使用が許可されている国は、
アメリカやカナダなど、少数派です。

一方で、
中国やロシアなどでは、
「ラクトパミンが含まれている食肉は輸入しない」
としている程、「ラクトパミン」を嫌っています。

日本においては、
ラクトパミンの使用は禁止されていますが、
輸入までは、禁止していませんね。

やはり、まずは、
大多数の国が、「ラクトパミンを禁止している」事実を
客観的に見れば、
「もしかしたらラクトパミンは体に悪いかも・・・」
という考えに至りますよね。

それでは、今回は、
ラクトパミン」が、
どのように体に悪い可能性があるのか
というところに焦点を
当てていければと思います。

ラクトパミンとは、何なのか?

まず、
知っておきたいのは、
ラクトパミンって、いったい何なの?
というところです。

ラクトパミン」は、
牛や豚のエサの中に混ぜてやることによって、
成長が促進される
不思議な薬剤です。

そして、
「ラクトパミン」は、
牛や豚の成長を促進するため「だけ」の薬剤ではありません。

「ラクトパミン」は、
β作動薬」という種類の薬剤です。

「β作動薬」・・・
なんだか難しくなってきましたね。
少し気合を入れましょう(笑)


実は、「β作動薬」というのは、
「人工的に作られたアドレナリンのような薬剤」です。

「アドレナリン」は、
割と聞いたことが、ありますよね。

スポーツをしたり、
ギャンブルにハマったりしている時に分泌されるホルモンです。

この「アドレナリン」は、
私たちの体の中の「β受容体」というところに
結び付くことによって、効果を発揮します。

β受容体」という器官に作動するから、
β作動薬」なのですね。

そして、
この「アドレナリンに類するホルモン」を
人工的に合成して作ったのが、
「ラクトパミン」だということになります。

「β作動薬」には、
・心拍数を上げたり
・血管を拡張させたり
といった効果のほかに、
筋肉の成長を促進させる
という効果もあります。

この効果を利用することで、
牛や豚の生産性を上げることができるので、
「ラクトパミン」が使われるわけですね。

人工的に合成されたアドレナリンのような薬剤・・・

なんだか、安全性が気になるのも、
うなずけますよね。

ラクトパミンのとり過ぎはヤバい!?

さて、ここまでの話で、
「ラクトパミン」は
アドレナリンと似たような働きをする薬剤だということが、
わかってきました。

そんな「ラクトパミン」なので、
取り過ぎるなどということがあれば、ヤバそうです。

では、
アドレナリンのような特性を持つ
「β作動薬」を取り過ぎるとどんなことが
考えられるでしょうか。

厚生労働省の発信を参考にしてみましょう。
(参考:厚生労働省>ヒトにおけるβ-作動薬の毒性影響

やはり、
「β受容体」が必要以上に
刺激されることになりますので、
・循環器系への影響
・ふるえ
・代謝への影響
などの懸念があるとのことが、記されています。


ちなみに、
「ラクトパミン」が与えられた豚の中には、
「歩行障害や衰弱死」をしてしまった豚もいます。

つまり、
「ラクトパミンのとり過ぎが、体に悪い」
ということは、疑う余地はないということです。

そのため、
「とり過ぎが危ないラクトパミン」には、
食肉の中への「残留基準」が定められています。

わかりやすいところで言うと、
厚労省がFAQで検査状況等が
うまくまとめられていますね。
(参考:厚生労働省>輸入食品監視業務FAQ

牛と豚については、
お肉の部位によって、基準が異なりますが、
少なくとも「0.09ppm以上」は、
ラクトパミンが残留しないように決められていますね。

そして、
平成29年4月1日~令和4年3月31日の間には、
違反事例も見つかっていないことも記されています。

ひとまずのところは、安心ですね。

ただ、
こんなにしっかり「残留基準」も設定されているのに、
なぜ、多くの国で、
そんなに「ラクトパミン」が
嫌われているのか、わかりませんよね。

ここまでの情報は、
一般的なサイトに、
飽きるほど書かれていると思います。

ここからは、
さらに少し踏み込んで、
内分泌かく乱性」の観点から、
ラクトパミンの安全性」について
見ていきたいと思います。

もし、「ラクトパミン」について、
「内分泌かく乱性」の観点から考えても、
心配がないならば、
もはや、米国産やカナダ産のお肉を
全く気にせず食べ放題でいいことになりそうです。

ラクトパミンの内分泌かく乱性はどうか?

内分泌かく乱物質って、何なの?

さて、
「ラクトパミン」については、
「残留基準」も設定されており、
「とり過ぎ」によって、人体に悪い影響がある
という点を心配をする必要はなさそうです。

ここからは、
ラクトパミン」を「内分泌かく乱性」の観点から、
考えてみた場合、
安全性はどうなのか」というところについて、
見ておきましょう。

まずは、
内分泌かく乱物質」について、
少し復習しておきましょう。

「内分泌かく乱物質」には、
低用量問題」というものがありましたね。

低用量問題」とは、
その物質が体に入ってくる量が少ないほど、
人体に悪い影響がもたらすという不思議な話でした。

なぜそんな問題が出てくるのかということ、
「内分泌かく乱物質」は、
体内で「ホルモン物質のふり」をして、
悪さをするような性質があるため、
「微量である程が、ホルモン物質と勘違いされやすくなる」
といった話が有力なようです。

つまり、
「内分泌かく乱物質」は、
「従来の毒性学」の
「量が多いほど毒になる」という考え方を
根底から、くつがえしてしまう性質があるということです。

そのため、
「内分泌かく乱物質」には、
「残留基準」という考え方は通用しません。


そして、
「ラクトパミン」は、ホルモンのふりをして
アドレナリンのように「β受容体」に
結び付いて作用することから、
「内分泌かく乱物質」の一つと考えて
差し支えないと思います。

つまり、
健康被害の報告がないだけで、
気づかない内に
「ラクトパミン」は、私たちの体に
少しずつ何かしらの影響を与えていないとは
言い切れないわけですね。

ラクトパミンは性ホルモンに影響を与える可能性もある

そして、
「ラクトパミン」は、
「β作動薬」なので、
「β受容体」にしか作用しないのか、
と言えば、そうとも言い切れないようです。

2015年の研究報告です。
(参考:Early Life Exposure to Ractopamine Causes Endocrine-Disrupting Effects in Japanese Medaka (Oryzias latipes)

メダカの胚をラクトパミンに
44日間、曝露させるという研究で、
ラクトパミンの濃度の設定は、
5〜625μg/Lと、かなり薄めです。

「ppm」で表すと、
0.005〜0.625ppmということになります。

そして、報告によれば、
視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸に
 関連する遺伝子の転写変化が見られた

とされています。

話が難しいので、
できる限り、簡単にしていきましょう。

私たちの体の中で、
男性ホルモンや女性ホルモンなどの
「性ホルモン」が分泌されるときの話です。

まず、
「性ホルモン」を分泌させる指示を出すのは、
視床下部」です。

視床下部」は、「下垂体」に、
性腺刺激ホルモン放出ホルモン」(ホルモンを放出させる指示を送るホルモン)を送ります。

次に、
「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」を受け取った
下垂体」は、
性腺刺激ホルモン」を
性腺」に送ります。

そして、最後に、
「性腺刺激ホルモン」を受け取った「性腺」が、
性ホルモン」を放出するというわけです。
ややこしいですね(笑)


簡単に言えば、
「性ホルモン」の分泌には、
「視床下部-下垂体-性腺」の3段階で
指示が送られる
という話になります。

そして、
「ラクトパミン」は、
この時の指示・伝達を狂わせてしまう可能性があることが、
報告されているのです。

これによって、何が起きるのかというと、
性ホルモンのバランスが崩れる
ということにつながります。

「性ホルモンのバランスが崩れる」ということは、
「さまざまな性機能の障害」が
発生することが心配されます。

さらには、
最悪の場合、乳がんや精巣がんのリスクにも、
つながるということになっていきます。

これが、
ラクトパミンに隠されたリスク」です。

多くの国が使うのを、
ためらっている理由が少しわかりますね。

少なくとも、
妊婦の方は、「ラクトパミン」に気をつけた方が、
いい理由の一つには、なると思います。

ちなみに、
類似の研究報告は他にもあるようです。
(参考:Exposure to Ractopamine Induces Behavioural and Reproductive Alterations in Zebrafish (Danio rerio)

結局、ラクトパミンの安全性ってどうなの?

さて、今回は、
ラクトパミンの安全性
について、取り上げました。

アメリカやカナダが
安全だと言い張っている「ラクトパミン」・・・。

結局、
安全性はどうなのでしょうか?

残念ながら、
私には、安全だと言いきる自信はありません。

「β作動薬」として、働く「ラクトパミン」は、
とり過ぎれば、健康へのリスクは大きいです。

その点については、
「残留基準」を設けることで
しっかりと対処されています。

しかし、
その「残留基準」の設定値は、
適切なのでしょうか?

私は、「内分泌かく乱物質」の危険性について、
強く心配をしています。

そのため、
含まれる「ラクトパミン」が少量だからと言って、
無害だと、言い切ることはできません。

また、
「ラクトパミン」が、
多くの国で禁止・規制されていることは一つの事実です。

そして、
国産のお肉には、
「ラクトパミン」の使用は承認されていません。

つまり、日本においては、
自分自身でリスクを避けるかどうかの選択ができるのです。

「ラクトパミンに隠されたリスク」を知った上で、
「避けるのか」、「気にしないのか」、
それを決定するのは、
あなた自身です。

今や、食品選びは、
自己責任の時代です。

あなたとあなたの家族の人生に対して
代わりに責任をとってくれる人は、
他のどこにもいません。

まずは、
少しずつでいいので、身を守る努力をしていきましょう!