「特定支出控除」
どんな制度かご存知でしょうか。
会社員の節税方法の一つです。
私の知人も
気になっているようです。
しかし、
この「特定支出控除」。
残念ながら、
普通の会社員には
まったく使いこなせそうにないです。
気になっている方のために、
くわしくまとめていきます。
特定支出控除とは
「特定支出控除」は、
サラリーマンが、
「仕事のために使ったお金」を
「特定の支出」として、
申告して、
払う税金を減らしてもらう制度です。
詳細については、
国税庁のホームページに少し難しい言葉で書いてあります。
・国税庁のホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm
すごく簡単に書かせてもらうと、
以下の式で節税額が決まります。
(仕事のために使ったお金 - 給与所得控除の半分 = 節税額)
「給与所得控除」は、
後ほど、くわしく見ていきます。
計算してみればわかりますが、
ちょっとやそっとの支出では、
ほとんど効果はないです。。。
では、
なぜこんなに使いにくいのでしょうか。
サラリーマンは一律で経費を計上されている―「給与所得控除」
サラリーマンは、
フリーランスや個人事業主と違って、
確定申告をしなくてもいいですよね。
なぜ、
フリーランスや個人事業主は
「確定申告」をおこなうのでしょうか?
これは、
フリーランスなどの所得が、
( 稼いだお金 ー 仕事に使ったお金 = 所得 )
で決まるからです。
「仕事に使ったお金」というのは、
パソコンを買ったり、
スーツを買ったり、
と人によって、さまざまです。
ですので、
その年の終わりに
フリーランスの人たちは、
自分が、
「稼いだお金」と
「仕事に使ったお金」を
税務署に直接、申告するわけです。
これが「確定申告」です。
では、
サラリーマンの場合は、
どうなっているのでしょうか?
サラリーマンの場合は、
「会社員が仕事のために使うお金なんて、
これくらいだよね?」
と一律で「仕事に使ったお金」が
自動的に計算されているのです。
これを「給与所得控除」といいます。
その額は、
年収に応じて、変わってきます。
例えば、
年収300万円なら、98万円
年収500万円なら、144万円
年収700万円なら、180万円
といった具合です。
それぞれの年収で
「この収入レベルの人は、
仕事をしてると、これくらいのお金がかかりますよね」
という形で全員一律で決められているわけです。
えらい人がボロボロのスーツを
着ているわけにもいきませんもんね。
というわけで、
平均的なサラリーマンが、
「仕事に使ったお金」が、
「給与所得控除」
ということになります。
そして、
「特定支出控除」は、
その収入に見合わないほど、
仕事にたくさんのお金を使った人に対する
救済措置ということになります。
なるほど。
これは、確かに使いづらそうです。
普通の会社員が特定支出控除が使えない2つの理由
さて、
「特定支出控除」が、
どんなものか、
だいたい分かっていただけたかと思います。
ここからは、
普通の会社員が
「特定支出控除」を
使えない理由について
見ていきましょう。
そこには、
2つの大きな理由があります。
金額的なハードル
上の方でも、
ふれましたが、
「特定支出控除」の節税額は、
( 仕事のために使ったお金 - 給与所得控除の半分 = 節税額 )
です。
仮に、あなたの
年収を500万円と仮定しましょう。
年収500万円の人の
「給与所得控除」は
144万円です。
つまり、
式に当てはめると、
「給与所得控除の半分」である
72万円以上を仕事に使った時に、
「特定支出控除」が使えます。
単身赴任で毎月地元に帰る人とか
新幹線通勤の人とか
でしょうか。
もはや転職した方が
よさそうな気もしますね(笑)
どうやら、
なかなか普通の人が使える代物ではなさそうです。
心理的なハードル
「特定支出控除」
を使うためには、
職場で支出の証明印を
もらう必要もあります。
これがまた、
ハードルが高いです。
先鋭的な企業であれば、
問題ないかもしれません。
しかし、
日本の一般的な企業では、
よくわからない書類を
社内に持ち込まれるのは、
かなり煙たがられるのではないでしょうか。
提出内容にあやしい点があれば、
税務署から調査が来る
可能性だってあります。
会社に対して
わけのわからない制度の内容を説明して、
奇妙な書類に証明印をもらうというのは、
なかなかに骨が折れそうです。
少なくとも、
私の会社では、できそうにもありません(笑)
ちなみに
平成30年度に特定支出控除を使われた方は
全国で1,704人だそうです。
勇気のある方々ですね。
さいごに
今回は、
「特定支出控除」
について、
見てきました。
「金額面」や「心理面」での
ハードルは、あまりに高く、
使いやすい制度とは言えなさそうです。
これでも、使いやすく改正されたそうですが、
まだまだ改善の余地がありそうですね。