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実写映画『東京リベンジャーズ』のココがひどい!原作好きが真剣にツッコんでみた【レビュー】

楽しかったモノ・コト

今回は、
実写版『東京リベンジャーズ』をレビューしていきます。

私は、原作の『東京卍リベンジャーズ』が大好きです。

原作好きから見て、
ひどかった点について、
少しツッコんでいこうと思います。

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実写映画『東京リベンジャーズ』のココがひどい!?

これじゃない感がひどい!?

”マンガを映像作品に落とし込む”という意味では、
本作は悪い作品だとは思いません。


しかし、私は、
本作を見た時に言い表しようのない
「これじゃない感」を感じました。

その「これじゃない感」の正体を探ってみようと思います。


あなたは、
原作『東京卍リベンジャーズ』を、
どんなジャンルに属する作品だと思っていますか?

「SF」?
「恋愛」?
「クライムサスペンス」?
確かに、そういった要素が目立っていますよね。


しかし、私は、
原作『東京卍リベンジャーズ』を何か一つのジャンルに分類するならば、
ミステリー」であると思っています。

本作は、
「ミステリー」に、
「恋愛」や「ヒューマン」、「バトルアクション」、「SF」などが
スパイスとして、味付けされた絶妙なバランスの作品だと、
私は思うのです。


では、
今度は、『実写版の本作』を
ジャンル分けするとすれば、
何に当てはまるか考えてみましょう?

「実写版」では、
抗争シーンや喧嘩のシーンに
ずいぶんと力が入れられているようでした。

おそらく、
実写映画『東京リベンジャーズ』は、
バトルアクション映画」に分類される作品でしょう。


つまり、
ミステリー」を原作とする作品を
バトルアクション映画」として描いてしまっているわけです。

これが、
私が抱いた「これじゃない感」の正体ではないかと思います。


例えば、
「原作」では、
タイムリープ後に世界がどう変わったのかを
ハラハラしながら、確かめにいく時には、
すごくワクワクしますよね。

「実写版の本作」では、
そういったところは、
かなり雑に表現されています。


映画は、2時間しかありません。

『実写版の作品』は、
『原作』に対して、
ピント外れな焦点の当て方をしてしまうと、
原作のダイジェストを
ただ人が演じているだけの退屈なものになってしまいます。

そういった意味では、
今作は、「不良漫画」を意識する余りに、
バイオレンスを描くことに執着しすぎたことが、
「ひどいと言われる理由」の一つなのではないかと、
私は感じています。

登場人物たち、おじさん過ぎる!?

物語冒頭から、
「違和感」を覚えていました。

主人公のタケミチは、
原作では、「中学生」です。

それが、
本作では、「高校生」に改変されているのです。

とりあえず、何かしらの事情があるのだろう・・・
と「違和感」を飲み込んで物語を見続けていました。

そして、
話は進み、
本作のキーパーソンである
「マイキー」と「ドラケン」が、
かっこよく登場する場面で、
ついに「違和感」は、「不協和」へと昇華します。

「マイキー」も「ドラケン」も、
明らかに”いい歳の大人”なのです。

原作の「マイキー」や「ドラケン」も、
確かに、大人びた少年たちです。

しかし、
そこに垣間見えるあどけなさや、
子どもであるにも関わらず、強くあろうとする覚悟こそが、
彼らの魅力の一つだと私は思うのです。

いい歳の大人が、大人びた演技をすれば、
いくらかっこよくても
それはもうただの「おじさん」です。

はしゃぎながら不良をやっている
「おじさん」たちを2時間も見続けているのは、
どうにも忍びないのです・・・。


誤解のないよう、申し添えておきますが、
吉沢亮さんや山田裕貴さんの演技が下手だとか、
顔が老けているだとか、
そういった意図は微塵も含んでいません。

衣装は似合っていましたし、
かっこよかったと思います。

ただ、
「マイキー」や「ドラケン」の
その刹那的な魅力は、
格好をまねたり、
言動をなぞったりしただけでは、
簡単に表現できるものではないと、私には思えいます。


ところで、
設定が、高校生に改変された「マイキー」や「ドラケン」たちは、
あんなにふり切れた不良であるにも関わらず、
もしかしてわざわざ授業料を払って高校に進学してるのでしょうか?

もしや、ああ見えて、意外と将来のこと、
考えてる・・・?

細かいところはどんな設定なんでしょう。
気になりますね。

マイキーとドラケンがなんだか弱い!?

そして、
「マイキー」や「ドラケン」の一番の魅力といえば、
何でしょう?

やはり、
その「常識外れの強さ」ではないでしょうか。

「無敵のマイキー」は、
どんな相手も一蹴りで倒してしまうはずです。

「マイキー」や「ドラケン」が味方にいる時の心強さは、
マンガを読んでいる私たちをも安心させてくれるほどです。


しかし、
『実写版の本作』では、
「マイキー」も「ドラケン」も
なんだかそこまで強くない・・・。

確かに、
本作の「マイキー」も「ドラケン」も強いのです。

ただし、あくまで、
「常識的な範囲での強さ」なのです。


つまり、
「マイキー」や「ドラケン」の一番の魅力である、
「”常識外れの”強さ」を
本作の彼らは持ち合わせていません。

話を整理すると、
これは、かなりひどい話になってきました。

ここまでの話をまとめると、
本作の「マイキー」や「ドラケン」には、
キャラクターとしての魅力が
ほとんど残されていないのです。

これでは、もはや、
最後の抗争シーンでは、
「マイキー」や「ドラケン」の恰好をした、
いい年のおじさんたちが、
常識の範囲内で適度に大暴れをしているだけなのです。

見ていると、
だんだん滑稽に見えてきます。

私だけでしょうか・・・?

東京卍會のメンバーたちの感情がぶっ壊れている!?

ここからは、少しネタバレを含みます。

最後に、
東京卍會のメンバーが総出で、
ドラケンの手術の成功を医師に告げられるシーン。

ここにも、恐ろしい違和感を覚えます。


想像してみてください。

あなたには、
家族のように大切な友達がいます。

その友達が、
何者かに腹部を刺されてしまいました。

友達は、病院に運ばれ、
生死の境をさまよっています。

あなたの胸は、
不安と緊張でいっぱいですよね。

その後、
何時間も待った末に、
手術室から出てきた医師に、
「手術は成功しました」
と告げられたとしたら、
あなたはどんな反応をしますか?


何かがはじけたように
「やったー!ひゃっほーい!」
と病院で大さわぎしますか?

それとも、
「良かった・・・」と
不安と緊張でいっぱいだった
胸をなでおろすでしょうか?


前者の反応には、
やはり、違和感がある気がします。

私ならば、きっと後者の反応になることでしょう。

もし、前者の反応をする方がいるとすれば、
・感情がぶっ壊れているか、
・生死をさまよっている友達を真剣に心配していなかったか、
のどちらかではないでしょうか?


私は、心理学の専門家ではないので、
間違っているかもしれませんが、
「喜び」とは、
”欲求が満たされた時に生まれる感情”であるはずです。

ですので、
タケミチが「ドラケンを生存させる」というミッションを
やっとの思いで成し遂げたことを
大喜びするのは、理解できますよね。


では、
東京卍會のメンバーさん達は
いったいどんな気持ちで
タケミチと同じテンションで大喜びしていたのでしょうか?

ドラケンを失う強い恐怖や不安から、
解放された彼らが一番に感じる感情は、
「喜び」ではなく、
おそらく「安堵感」ですよね。

やはり、東京卍會の方々は、
”殴られ過ぎて感情がぶっ壊れてしまった”
という理解でいいのでしょうか?

だとしたら、
とてもかわいそうです。

『ケーキを切れない非行少年たち』というやつでしょうか。

本作は、我々が思うより、
ずっと深い闇を描いているのかもしれません。

タケミチの芯が完全にぶれている!?

ここにも、ネタバレを含みます。

『実写版本作』で、
一番問題のあるシーンといえば、どこでしょうか?

私は、
ヒナがタケミチに好意を寄せるきっかけになった、
あのシーンだと思っています。

コンビニでチンピラに絡まれていたヒナを、
タケミチが、変人のフリをして助ける名場面ですね。

一見、何気ない改変に思えるかもしれません。

しかし、
私は、この演出が、
本作の物語の根幹をゆるがす大問題のシーンだと思えるのです。


さて、
自分より強そうなチンピラに対して
変人のフリをよそおって、
その場をやり過ごすという行為は、
果たして、「かっこいい不良」のやることでしょうか?


原作には、
物語の最初から、
ずっとつらぬき通されている「かっこいい不良像」
というものがあります。

ずばり、原作の「かっこいい不良」とは、
自分より、明らかに強い相手に対しても、
人数や武器に頼らずに、
決してひるまず、
挑んでいける芯の強さを持った人物です。

それが、
マイキーの兄である「真一郎くん」です。

マイキーやドラケンが、
タケミチの芯の強さに
「真一郎くん」の影を見たからこそ、
この物語の幕がひらくのです。

もちろん、
原作では、
「ヒナ」も、「タケミチ」の芯の強さに心をひかれ、
好意を寄せるようになるのです。


しかし、
『実写版本作』の「タケミチ」は、どうでしょう?

どうやら、
本作のタケミチは、
「かっこいい不良」である一面を気まぐれで見せるだけの
ただ喧嘩に弱い人のようです。

こんなときどき
芯のぶれるタケミチに
「真一郎くん」の影を見た
マイキーとドラケンの目は、
節穴だったということなのでしょうか。

「ヒナ」は、
たまたまバイト中に助けてくれた変人かもしれない人を
なんとなく、好きになっただけなのでしょうか。

そういうことなら、
なんだか、感動も半減です。


本作は、
つじつまを合わせるために、
後半にさしかかるほど、
違和感が大きくなっていくような気がします。

もちろん、
映画は、形にするだけでも
大変だということは、わかっているつもりです。

いろいろな人の意見や利害を束ねて、
面白い作品を作るのは
本当に難しいのでしょう。

キヨマサこそが、かっこいい不良だった・・・?

引き続き、ネタバレを含みます。

「かっこいい不良」像の話が出たところで、
『実写版本作』の違和感をもう一つ挙げます。

本作の一番の見せ場である
「タケミチとキヨマサのタイマン」について、
考えてみましょう。

キヨマサは、
本作の「かっこ悪い不良」の代表格として、
描かれてきました。

「かっこ悪い不良」とは、
「かっこいい不良」と真逆の不良像ですね。

キヨマサは、
喧嘩賭博の途中で、武器を持ち出したり、
1人の相手を大勢で襲ったり、
とやりたい放題です。

しかし、
最後のタケミチとの
タイマンの場面ではどうでしょう?

「かっこ悪い不良」の代表であったはずのキヨマサが、
あろうことか、
おもむろにタケミチの目の前にのこのこと一人で表れ、
正々堂々とタイマンを仕掛けるのです。

もしも、
ドラケンがまだ戦える状態だとすれば、
2対1にもなりえる危険な戦いです。

いくらタケミチをなめているとはいえ、
そんな危険も予想される戦いにキヨマサは、
武器も仲間も持たず、
たった1人で挑むのです。


さあ、ここで、
「かっこいい不良」像を
今一度、思い出してみましょう。

ずばり、「かっこいい不良」とは、
自分より、明らかに強い相手に対しても、
人数や武器に頼らずに、
決してひるまず、
挑んでいける芯の強さを持った人物です。


この場面でのキヨマサは、
おおむね、この「かっこいい不良」像に
当てはまっている気がするのは私だけでしょうか?

なにせ、この最も大事な局面において、
「あえて」武器や仲間を放棄し、
正々堂々とステゴロで挑むのです。

キヨマサにも、
ゆずれない何かがあったということなのでしょうか。

実写版本作では、
こんなに「かっこいい不良」は、
「キヨマサ」をおいて、
なかなか他には見当たりません。


なぜか、実写版本作では
刃物を使わない「パーちん」と
いい勝負ではないでしょうか。

「パーちん」が刃物を使わなかったせいで、
本作では、「長内」が
中ボス役とラスボス役を兼務し、
ダブルヘッダーとして、出演をさせられてしまいます。

もう完全に、しっちゃかめっちゃかです。


さて、パーちんの刃物の話は、
時間の都合上、省略されただけだとして、
残念ながら、
「かっこいい不良」同士の対決は
キヨマサではなく、
タケミチに軍配が上がりました。

しかし、
ここ一番の大勝負では、
武器にも仲間にも頼らない
キヨマサの不良としての生き様は、
決してタケミチに劣るものではなかった、
と私は、称賛の拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。


・・・というわけで、
最後の最後にキヨマサのキャラも
映画の見せ場を作るために完全にぶれてしまったようですね(笑)

実写映画『東京リベンジャーズ』の面白いところは?

ここまでは、
本作を酷評してきてしまいましたが、
ライト層からは、本作は、そこそこにいい出来だと評価されています。

ですので、
ここからは、『東京リベンジャーズ』の面白かったところも、
挙げておきます。

『東京卍リベンジャーズ』の世界の生々しさを追体験できた!

マンガでは、
サラリと表現されている
「不良の怖い世界」。

本作の実写版では、
”これが生々しく表現されている”という点には、
正直、感心しました。

原作では、
かなりマイルドに表現されている「暴力」や「非行」。

これらを現実のものとして、
映像作品に落とし込んだ時、
「タケミチは、こんな恐怖と戦っていたのか・・・」
と、「タケミチ」の心の葛藤を
少し追体験できたようにも感じます。

原作でのタケミチの毎度の大活躍に胸を熱くさせられる私にとっては、
目新しい感覚だったと思います。

MVPは今田美桜さんです!

本作のキャストのみなさんは、
かなりはまり役の方が多かったと思います。

吉沢亮さんも、
うまく自分なりのマイキーを探り当てていたように思います。

そして、
中でも、私がすばらしいと思ったのが、
ヒナ役・今田美桜さんです。

見終えた後の印象が
どうにも薄かった本作。

その中で唯一、今田美桜さんの
『君はいつも急に来るね。』
というセリフだけが、印象に残りました。


作中では、このセリフは、
3回ほど使われたと記憶しています。

伏線ですね。

そして、
3度のシーンで、使われたこのセリフは、
今田美桜さんが、すごく丁寧に放った言葉であったように感じて、
私の心には強く残りました。

時間を超える物語である本作の中で、
唯一、ヒナの周りに流れる時間だけが止まっており、
それが時間旅行の道しるべとなっているかような、
そんな風に感じられました。

もしも、
ヒナ役が橋本環奈さんだったら、
こうはならなかったかもしれません。

分かりませんが(笑)

実写映画『東京リベンジャーズ』ってどんな映画?

実写映画『東京リベンジャーズ』の基本情報

  • 公開日: 2021年7月9日(第1作)
  • 監督: 英勉
  • 主題歌:SUPER BEAVER「名前を呼ぶよ」

実写映画『東京リベンジャーズ』のキャスト

  • 吉沢亮(佐野万次郎/マイキー役)
  • 山田裕貴(龍宮寺堅/ドラケン役)
  • 杉野遥亮(橘直人/ナオト役)
  • 今田美桜(橘日向/ヒナ役)
  • 鈴木伸之(清水将貴/キヨマサ役)
  • 磯村勇斗(千堂敦/アッくん役)
  • 間宮祥太朗(稀咲鉄太役)
  • 眞栄田郷敦(三ツ谷隆役)
  • 清水尋也(半間修二役)