記事内に広告が含まれています。

『老後の資金がありません!』おもしろいけど、見ていて少しイライラも!

楽しかったモノ・コト

映画『老後の資金がありません!』
見ました。

コメディ映画としては、
なかなかの出来。

しかし、
刺さる人には
刺さる内容だと思います。

あなたが、これまでに
「どんなライフイベントを経験してきたか」によって、
この映画の感想は大きく変わることになるでしょう。

そして、本作は、
「老後2000万円問題」の一つの解を
提案してくれている点もユニークですね。

スポンサーリンク

映画『老後の資金がありません!』のおすすめ度

映画『老後の資金がありません!』の個人的おすすめ度は、

おすすめ度:★★★☆☆

くらいでしょうか。


笑いごとではない
「老後2000万円問題」を
笑いをまじえて題材にしているところに
本作のすばらしさを感じますね。

結局のところ、内容は、
「一番大事なのは、お金じゃないよ!」
的なベタなものです。

ただ、
ライフイベントを経るごとに
貯金が失われていく深刻さは、
とても他人事に感じられず、
少し胸が痛くなりました(笑)

そういう意味では、
いろいろな経験をされている人の方が、
本作の内容は、心に刺さると思います。

ご家族でご覧になって、
おうちの経済状況について、
意図的に話し合う機会を作ってもいいかもしれませんね。

映画『老後の資金がありません!』について

本作の監督は、
「前田哲監督」。

前田哲監督の代表作は、
実写版映画の『陽気なギャングが世界を回す』なのかな、
と私は思っています。

個人的には、
小説の世界をうまく読み解いて、
映像化するのが、
すごくお上手だなぁという印象です。


本作の興行収入は、
上映中の2022年1月時点で
約12.4億円とのことです。

邦画の製作費は、
一般的に5億円以下程度と言われていますので、
しっかり黒字映画ですね。

本作の興行収入の伸びからも
「老後2000万円問題」への
世間の関心の高さがうかがえますよね。

映画『老後の資金がありません!』の感想

ここからは、本作の感想です。

配役がおもしろい

まず、本作のおもしろさの一つは、
やはり、絶妙な「配役」にあると思います。

物語は、
2022年に惜しまれながら、
解散したお笑いコンビ「ピスタチオ」の
端役の演技で幕を開けます。

この初撃のユニークな配役で
物語への興味は、一気に高まります。

その後も、随所に
柴田理恵さんや佐々木健介さん、北斗晶さんご夫妻といった
本職が俳優ではない方々が、
絶妙なポジションで配役されていきます。

この仕掛けには、
「次は、どんな人が出演するのだろう」
と嫌でも期待してしまいます。

三谷幸喜さんが登場するシーンなんかは、
本当なら、すごくひやひやするような場面でしたが、
三谷さんのコミカルな演技のお陰で余計な緊張をせずに、
おだやかな気分で映画を鑑賞できて、
よかったと思います。

この手の作品に緊張感は、
一切必要ないと私は思っています。


そして、
極めつけは、
主演の天海祐希さんです。

中年の経済的不安をすごくリアルに表現されていて
とても演技とは思えない演技でした。

天海さんに限って
そんな経験はされたことはなさそうですが(笑)
さすがは宝塚歌劇団ですね。


やはり、
本作のおもしろい点の一つは、
そのユニークな「配役」にあると思います。

「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべき」ですよね

本作のすばらしい点は、
深刻な問題を笑いをまじえて
優しく伝えていることだと私は思っています。

伊坂幸太郎先生の『重力ピエロ』に、

 『本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ』

というかっこいいセリフがあります。

まさにそういうことですよね。

『老後2000万円問題』は、
私たちにとって、非常に深刻な問題です。

それをコミカルに伝え、
かつ、それに対する解を提示してくれているところに
本作の暖かさを感じます。


ところで、
あなたは、65歳で定年する時、
2000万円という資産を
築いている自信がありますか?

自信あるとしたら、
その自信はどこから来るのでしょう?

数年後に、リストラに合うかもしれません。

来月、とんでもない部署に配置転換させられ、
病気になって働けなくなることだって、平気であり得るのです。

あなたが
「老後2000万円問題」に
何の不安もないとしたら、
それは、ただこれまでの人生で運が良かっただけです。

油断していると、
あなたの勝ち組的なポジションは、
あなたが思っているよりも、
あっけなく崩れ去るでしょう。


すでに2000万円を確保している人だって
例外ではありません。

もし、投資での失敗や詐欺に合えば、
あなたの虎の子の資金のほとんどは、
あっという間に失われてしまいます。

インフレの影響も無視できません。
なぜなら、
あなたが貯めた2000万円は、
何もせずとも、
今後の数年で、少しずつ価値を失っていくからです。

突き詰めれば、
この世に経済的な安全地帯など
どこにも存在しないのかもしれません。

だからこそ、
「人とのつながりを大事にして、見栄を捨て、お金から自由になろう!」
というのが、本作の大きなメッセージの一つだと私は思います。

篤子を取り巻く環境には少しだけイライラ

コメディ映画なので、演出がやり過ぎなところはあるのですが、
天海祐希さん演じる『篤子』を取り巻く環境には、
少しだけイライラさせられてしまうところもありました。

家にお金がないにも関わらず、
夫はプライドを捨てきれず、
娘はお金や食事を無心しに来て、
おばあちゃんは、浪費家で本能のままにお金を使いまくります。

そんなこんなで
お金が次々に失われていく感じは
見ていて少し胸が痛くなります(笑)

お金がない中で、
家庭の経済状況を考えず、
みんながお金を使い放題という状況には
「危機感はないのか!?」
と少しイライラしてしまいます。

資本主義の社会において、
お金は、命と同じ価値があると言っても
過言ではないはずなのに、です。

そして、
何より、残念なのが、
「お金がない。助けてほしい。」
と言えない篤子です。

篤子は、お金を節約するために
家内で孤軍奮闘するも、
状況は、なかなかよくなりません。

稼ぎが足りていない家庭に悲壮感がないのは、
コメディ映画だから、仕方ないのかもしれませんが、
危機感がない人が多すぎて、
なんだか見ていてつらくなります。

篤子の家計管理に絶対の信頼を寄せているのか・・・
そもそも危機感というものを感じない方々なのか・・・

こういう時は、
責任感が強い人の一人負けなのかもしれませんね(笑)

仕事にも言えることですが、
負担はみんなで分かち合いましょう(戒め)

「老後2000万円問題」の解は一つではない

本作では、
「老後2000万円問題」の一つの解が、提示されています。

ネタバレを避けるため、
あえて内容を書くことはしません。

ただ、本作に秘められたメッセージは、
「『老後2000万円問題』を解決するために、
 映画のマネをしながら生きていけ!」
というものではないので、
あえてネタバレをする必要はなさそうです。

本作の大きなメッセージの一つは、
「人とのつながりを大事にして、見栄を捨てて、お金から自由になろう!」
ということだと私は思っています。

つまり、
自分に合っている形で、
「人とのつながりを大事にして、見栄を捨てて、お金から自由になる」方法を
自分自身で考えていけばいいということです。

その方法が、
あなたの「老後2000万円問題」の解になるのではないでしょうか。

例えば、
ローンが残っている豪邸を売り払って、
土地や生活コストの安い田舎に引っ越して
質素に生きていくのもいいかもしれません。

仲が悪くないならば、
義理の両親と楽しく同居するという選択肢もあるかもしれませんね。

同居とまでは、いかなくとも
地元に帰って、両親や親族とゆるく助け合いながら、
生きていくのもありだと思います。

このご時世なので、
利害の合う仲間とハウスをシェアする
という方もいらっしゃるでしょう。


時代は目まぐるしい早さで激変しています。

いつまでも自分のカラを破れない人種の方は、
恐竜のように絶滅してしまうのかもしれません。

そういう意味では、
本作には、新時代を生き残るためのヒントが
ちりばめられているようにも思います。

将来に漠然とした不安がある方は、
いろいろなことを考えながら、
本作を視聴してみるのもいいかもしれませんね。