みなさんは、
宇宙に行ってみたいですか?
行ってみたいとしたら、
いくらまでなら払えるでしょう?
1000万円?
100万円?
なんと
「宇宙エレベーター」が完成すれば、
数万円で宇宙に行くこともできるという
試算もあるのです。
これなら、十分に手の届く額です。
夢がありますね。
ということで、
今回は、
「宇宙エレベーターって実現できるの?」
について、
取り上げようと思います。
宇宙エレベーター、いつできるの?
数万円を払えば、
我々も宇宙に行けるという
「宇宙エレベーター」。
もちろん、
現状のままでは、
課題も多く、
実現は困難だとも言われています。
しかし、
日本が誇るスーパーゼネコン・大林組によると、
「2050年に完成を目指している!」
とのことです。
2025年に建設を開始するそうですが、
おそらく、
計画は後ろ倒しになることでしょう(苦笑)
しかし、
そんなプロジェクトをぶち上げるところ、
日本もまだまだ捨てたものではありません。
宇宙エレベーターのしくみ
宇宙エレベーターのしくみは、
難しいものではありません。
地上から10万kmのところに、
「おもり」を浮かべます。
その「おもり」から、
エレベーターが通るための
「ケーブル」を地上に向かって
たらすだけという
単純なしろものです。
そして、
その「ケーブル」の中を伝って
宇宙に行き放題というわけです。
ちなみに、
「おもり」は、
地球の自転と同じスピードで
地球の周りを公転してもらう設計です。
なので、地球からすると
いつも同じところにケーブルが存在するわけです。
建設費用は、
1兆円とも言われています。
しかし、
一度作ってしまえば、
動かすのに必要なのは、
電気代だけとなります。
宇宙エレベーターの技術的な課題
さて、
「仕組みは、単純なんだ!」
とわかってもらえたかと思います。
でも、
「こんなこと、本当にできるの?」
という疑いはぬぐえませんよね。
そこで、
次は「宇宙エレベーター」の課題を
見ていきましょう。
ケーブルの材質の問題
まず、
「ケーブル、なにで作るの?」問題というのが
あります。
さて、あなたは、
納豆や温めたチーズを
食べますか。
納豆の豆や温めたチーズの一部を
持ち上げると糸を引きますよね。
そして、
その糸は少しすると
プツンッと切れてしまいます。
これと似たようなことが
「ケーブル」でも起きてしまうわけです。
長ーい糸状の物は、
自分自身の重みで、
ぶつりっと途中で切れてしまうのです。
この問題を解決するために必要なのは、
とてつもなく「じょうぶ」で「軽い」素材です。
金属では重すぎるし、
プラスチックでは弱すぎる。
ということで、
その候補となっている素材が、
「カーボンナノチューブ」です。
「カーボンナノチューブ」の性能を
最大限に引き出せれば、
宇宙エレベーターは可能ともいわれています。
しかし、
2013年にニュースになった
「完璧な」カーボンナノチューブは、
長さが、たった50cm程度だったと言われています。
10万kmのケーブルが本当にできるのか。
そして、それは安全に使えるのか。
技術の基礎はできているようですが、
少し不安がよぎりますよね。
宇宙ゴミ、多すぎ問題
晴れていろいろな課題を解決し、
宇宙エレベーターが完成したとします。
しかし、
地球の周りには、
追跡できているだけで、
1億個を超える宇宙ゴミが
飛びまわっていると言われています。
無造作にたらされた「ケーブル」に
宇宙ゴミが、バチバチとぶつかり、
宇宙エレベーターは、
すぐに壊れてしまうのではないか
という心配もされています。
ひんぱんに修理をし続けなければ
ならないのでは、
安く宇宙に行けそうにはありません。
・・・それどころか、
自分が乗っている間に
宇宙ゴミにぶつかられるのではないか
という心配すらあります。
残念ながら、
これについては、
どうすればよいのか、
まだよい答えは見つかっていないようです。
地道に宇宙ゴミを
回収していくしかないのですかね。。。
宇宙エレベーターの技術以外の問題
技術的な問題をすべてクリアし、
もしも、宇宙エレベーターが完成したとして、
「その運用はどうするのか?」
というところにも問題は尽きません。
テロの標的にならないか問題
宇宙エレベーターは、
テロリズムの標的にならないか?
という心配もあります。
もし、
はるか上空で、
ズバッと「ケーブル」が切断されてしまった場合、
何が起きるでしょうか。
地球1周分にも及ぶ長さのケーブルが
地球に向かって落下してきます。
この落下してきたケーブルが、
地球上のあらゆるものを
破壊してしまうのではないか?
ということが考えられるわけですね。
これが怖いため、
専門家の中には、
宇宙エレベーターの安全性に
懐疑的な人もいます。
だれが管理するか問題
数万円で宇宙に行けるという
「宇宙エレベーター」。
さて、
こんなものを一国、もしくは、数か国が
独占してもよいのでしょうか。
もし、そうなれば、
その国は低コストで
宇宙を探索しまくり、
ありったけの宇宙資源を回収してこれるでしょう。
そんなことを
他の国がだまって許しておくでしょうか。
もしかしたら、
建設自体を邪魔しようとする国だって
現れるかもしれません。
つまり、
宇宙エレベーターは、
管理の仕方を間違えば、
新たな争いの火種になる可能性もあるのです。
もちろん、
みんなで共有するのが一番です。
しかし、
アメリカと中国が
仲良く宇宙エレベーターを使っているところが
うまく想像できないのは
私だけでしょうか。
さいごに―宇宙エレベーターの実現は無理なのか
今回は、
「宇宙エレベーターって実現できるの?」
について、
見てきました。
まだまだ、
技術上、運用上、
さまざまな課題がありそうです。
正直、
「無理」というよりも、
このまま、作ってしまっていいのか?
という心配もあります。
しかし、
宇宙エレベータ―が完成すれば、
宇宙旅行が身近になったり、
月に基地ができたり、
宇宙の謎の解明が進んだり、
おもしろそうなこと、すごいことが
たくさん起こることが想像できますよね。
ただ、
人類は、新たな技術を
仲良く使っていけるのか、
少し不安も残ります。
大林組の構想では、
宇宙エレベータ―は、
2050年に完成するようです。
そのころには、
どんな世界が待っているのか。
明るい未来が待っていることを願うばかりです。
さて、
世界を変えるような技術に
興味はありませんか?
よければ、↓のほかの記事にも
目を通してみてくださいね。
今回の参考文献
今回の参考文献は、
ケリー・ウィーナースミス, ザック・ウィーナースミス(2020).
『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、 3Dプリンターで臓器が作れるんだい!?』.
化学同人.
です。
本書は、
世界を変えるような技術について、
ユーモアたっぷりに
解説されています。
アメリカンな表現が多いですが、
なかなかおもしろく、
勉強にもなります。