みなさんは、
蛇口をひねると、
出てくる「水道水」、
そのまま飲んじゃいますか?
ちまたでは、
飲んでも大丈夫だとか、
飲まない方がいいだとか、
いろいろな情報が飛びかっていますよね。
世の中には、
「水道水の健康リスク」をあげつらって、
高価な浄水器やミネラルウォーターなんかを
売っている方もいらっしゃいます。
結局、
水道水って、そのまま飲めるんでしょうか?
特に、
こだわりがなければ、
飲料水には、
あえて、特別にお金をかけたくない方も多いでしょう。
ということで、
この度は、
「水道水はそのまま飲んでもいいのか」
について、
取り上げます。
水道水は、建前の上では、そのまま飲めるが・・・
さて、結論からになります。
日本水道協会によれば、
建前の上では、
「水道水は、日本のどこにいても飲める」
ということになっているようです。
なんといっても、
水道水は、
51もの項目を管理した上で、
26もの項目に管理目標値を設定しています。
メーカーで品質管理を
経験したことがある方ならわかるかと思いますが、
水道水は、めちゃくちゃ厳しく管理されています。
ただし、
私は、
「日本のどこにいても」
という話には、少し懐疑的です。
それでは、くわしく見ていきましょう。
水道水の管理基準はミネラルウォーターより厳しい
では、まず、
水道水がどのような管理を
受けているのか、確認しておきましょう。
実は、「水道水」は、
「ミネラルウォーター」よりも
厳しい管理を受けています。
細かい項目については、
東京都水道局のページでわかりやすく、
まとめられています。
少し、意外ではありませんか?
理由をくわしく見ておくと、
「水道水」が、「水道法」という法律に従って管理されるのに対し、
「ミネラルウォーター」の管理は、「食品衛生法」に従うからですね。
「食品衛生法」も
かなり厳しいイメージがありますが、
「水道法」は、さらに、その上をいくわけです。
内容をくわしく見てみて、
少し目についたのは、
「フェノール類」なんかの項目でしょうか。
「水道水」とは違い、
「ミネラルウォーター」には、
この辺りの管理基準がないようです。
「ミネラルウォーター」の原料となる水を
どこから調達するのかによりますが、
地下水や河川に「フェノール類」が入り込んでいた場合、
素通りで我々の口に入ってしまう可能性はありますね。
沸点の高い「フェノール類」が、
加熱殺菌の工程なんかで
除去できるとは思えません。
なんなら、
ちょっと濃縮されてしまいそうな気さえします(笑)
もちろん、
これは、心配のし過ぎでしょう。
しかし、
管理内容としては、
「水道水」の方が、「ミネラルウォーター」よりも、
厳しいというのは、
客観的に見て、間違いないようです。
水道水に心配な点はあるのか?
さて、
こんなにしっかりと
管理されている「水道水」。
とても変な物質が
入り込んでいるとは思えませんよね。
では、
「水道水の安全性」には、
どこかに死角が、あるのでしょうか?
ここからは、
「水道水」の心配な点を見ていきましょう。
水道管は古くない?
しっかりと管理されているはずの「水道水」も
その目が行き届くのは、
「送り出すまで」です。
送り出した後の「水道水」については、
さすがに管理しきれません。
あなたの家には、
毎日、水道局の方が
水質のチェックをしに来たりしませんよね。
ということは、
「水道水」が、
確実に安全なのは、
「送り出すまで」ということになります。
少し事情が変わってきましたね。
そういうことならば、
我々が気にしなければならないのは、
「水道管って、本当にきれいなの?」
という話になってきます。
そうはいっても、
さすがに、
水道管が有害物質で汚れまくっているということは
考えにくいでしょう。
しかし、
古くなった水道管が、
サビてしまうことは容易に想像できます。
サビた水道管からは、
サビ成分が水道水にまぎれこんで
やってきてしまいそうですよね。
このように、
水道管のサビによって赤色になってしまった水は、
「赤水」と呼ばれています。
水道管の耐用年数は、
一般的に、40年とされています。
地面の下には、
この耐用年数を超えてしまった水道管が
そこそこにあり、
それが、年々増えていってしまっているわけですね。
あなたもお住まいの地域の水道局に
問い合わせてみればわかりますが、
私の住んでいる地域では、
全体の約20%の水道管が耐用年数を
超えてしまっていることがわかりました。
耐用年数を超えた水道管からは、
「赤水」が出るリスクが高まります。
「赤水」の赤い成分は、
主に「鉄」です。
「鉄」を大量に摂取すると、
鉄中毒を発症してしまいます。
重篤な場合には、死に至ることもあるようですね。
などと、びっくりさせたいところですが、
鉄中毒を発症させるには、
20mg/kg(体重)の鉄の摂取が
必要になります。
体重50kgの方なら、
1gの鉄です。
文献を参考に
「赤水」の鉄濃度が1mg/L程度と考えると、
鉄中毒になるには、
1000リットルの赤水を飲む必要があることになります。
トンデモない量ですね。
幸いなことに、「赤水」のせいで、
鉄中毒になる心配は、なさそうです。
ただし、
鉄中毒とまではいかなくとも、
「赤水」を飲んでいると、
嘔吐や下痢が引き起こされることがあるようですので、
やはり、注意は必要です。
「水道水」を飲んでみて、
鉄の味がするようなら、
水道管が古くなって、
サビている可能性があります。
心当たりがあるならば、
水道管の更新が進むまでは、
浄水器やミネラルウォーターの導入を
検討してみてもいいかもしれません。
水道水には農薬が含まれている?
管理がしっかりと
行き届いている「水道水」ですが、
心配な点が、もう1点あります。
令和4年4月から、
水道水の管理がゆるくなるというニュースを
ご存じでしょうか?
どうやら、
「ホスチアゼート」と「ウニコナゾールP」
という農薬の管理をゆるめるよ!
という内容が盛り込まれているようです。
健康意識が高い方であれば、
聞いたことがあるかもしれませんね。
もっとも、
本当にリテラシーの高い方であれば、
特に変な心配は、されていないと思いますが(笑)
心配されている方のために、
内容を整理しておくと・・・
これは、
「水道水の浄化には、農薬が使われていて、
もれなく、水道水中にちょっとだけ残留農薬が含まれています!
とりあえず、だるいんで、管理ゆるめます!」
という話ではありません。
正しくは、
「近くの畑や田んぼから、水道水の元となる水に
農薬が、混ざり込んでも、がんばって取り除きます!
でも安全らしいんで、ちょっとだけ管理ゆるめます!」
という話です。
ですので、
あなたの住んでいる地域が、
そこそこの都会で、畑や田んぼのない地域ならば、
変な心配をする必要はありません。
農薬が混ざり込む心配はないからですね。
つまるところ、
「水道水」の水質というものは、
住んでいる場所によって、
微妙に異なるものだということです。
そして、これは裏を返せば、
あなたの住んでいる場所が、ちょっとだけ田舎で、
畑や田んぼが多い地域であれば、
少し注意が必要になってくるかもしれないということです。
水道水に、
ごく少量の農薬が、含まれる可能性が否めないからです。
たいていの農薬というのは、
「生き物の神経系」に影響を与えることで
何かしらの作用を引き起こします。
今回、規制が緩められた
「ホスチアゼート」は、殺虫剤、
「ウニコナゾールP」は、植物の成長調整剤、
として使われています。
しかし、
その「生き物の神経系」には、
人間の神経系も例外なく、含まれるわけです。
さらに、厄介なことに
これらの農薬たちは、ごく少量においても、
その作用を引き起こすという研究報告も出てきているのです。
つまり、
微量の農薬を含んだ水道水を飲み続ければ、
気付かない内に、あなたの脳や体は、
少しずつむしばまれていっている可能性がある、
ということは理解しておかなければなりません。
ちなみに、
これらの「生物の神経系に影響を与える物質」を
「内分泌かく乱物質」と言います。
くわしくは、
↓の関連記事にまとめております。
「内分泌かく乱物質」の研究は、
十分に進んでいないこともあり、
当局も扱いに困っている一面はあるようです。
「水道協会も、安全って言ってるし、大丈夫だろう。」
と、タカをくくっていても、
目に見えるような形で
害を及ぼされることはないのかもしれません。
しかし、
「内分泌かく乱物質」を甘く見るべきではない、
というのが、私の個人的な意見です。
「浄水器」というものが、
世の中で広く使われている理由を
しっかりと考えた上で、
自分と家族の身をどれだけのコストをかけて守るのかは、
あなた自身が判断するしかありません。
特に家族に小さなお子さんや妊婦さんがいる方は
しっかりと気を付けてあげてくださいね。
水道水は飲んでも大丈夫なのか?
今回は、
「水道水はそのまま飲んでもいいのか」
について、見てきました。
私の考える水道水の
最も大きなリスクとしては、
「水道水のサビ」と「農薬」です。
結局のところ、
水道水をそのまま飲んでも大丈夫かどうかは、
地域によるといったところでしょうか。
特に、私は、
「農薬」のリスクについては、
重く見ています。
「農薬」の人体への影響に関する研究が、
十分には進んでいないからですね。
現在の常識では、
「水道水は安全」と考えてもよいかもしれませんが、
何年後かには、その常識がくつがえっている
可能性もゼロではありません。
(なんにでも言えるかもしれませんが・・・)
結局のところ、
自分と自分の家族の身を
どれだけのコストをかけて守るかは、
あなた自身で考えて判断するしかありません。
身を守るには、
「考える力」を養わなければ
ならないのかもしれませんね。