カップラーメンやカップ焼きそば、
おいしいですよね。
時々ついつい食べたくなります。
しかし、
カップ麺の容器については、昔から、
とある黒いウワサがありますよね。
カップ麺の容器から何かが溶け出している・・・
というあれです。
「いやいや、毎週、食べてるけど、
別にガンとかになってないよ?
またマスコミとかが大げさに言ってるだけでしょ?」
などと思っている方もいるかもしれませんね。
しかし、
煙のないところにウワサは立たないものです。
もしかしたら、
カップ麺好きのあなたは、
気付かないうちに少しずつ大事な何かを
失い続けているのかもしれませんよ。
というわけで、
今回は、
「カップ麺の容器は体に悪いのか?」
について、取り上げていこうと思います。
カップ麺の容器は体に悪いの?
さて、いつも通り、結論から行きましょう。
「カップ麺の容器は、無害ではない」
というのが、今回の結論です。
かなり昔から、
「カップ麺の容器から、化学物質が溶け出す」
という話はよく言われていましたよね。
近年、韓国でおこなわれた調査からも、
お湯を注いだカップ麺の容器から、
「化学物質が溶け出す」ということは、
しっかりと確認されています。
しかし、
その化学物質が、結局、
「危険なのか?安全なのか?」
という大事なところは、
はっきりと誰も名言してはくれません。
「え?安全だから使われ続けてるんじゃないの!?」
と思う方も多いでしょう。
しかし、
世の中はそんなに単純で、甘いものではありません。
危険な物質がすべて、
毒薬のようにすぐに効果を表すわけではないのです。
少しずつ少しずつ気付かない内に、
我々の体をむしばんでいく物質だってあるのです。
そして、
そんな物質は、
なかなか危険性を証明するのがむずかしいのです。
つまり、今回は、
そういう「むずかしい」物質の話になります。
というわけで、
それでは、
「カップ麺の容器から溶け出す物」の話を
くわしく見ていきましょう。
カップ麺の容器から溶け出している物質
さて、まず、
「カップ麺の容器の安全性」を調べる上で、
知っておくべきは、
「一体、カップ麺の容器から何が溶け出しているのか」
ですよね。
まずは、
「カップ麺から溶け出している物質」について
確認しておきましょう。
そもそも、
カップ麺の容器は何からできているのでしょうか。
たいていのカップ麺メーカーさんは、
「カップ麺の容器」に、「ポリスチレン」という
プラスチックを使っています。
「発砲スチロール」といった方が、
耳慣れていますかね?
こすれると嫌な音がする、あれです。。。
そして、
その「ポリスチレン」からは、
ポリスチレンの子どものような化学物質である
「スチレンオリゴマー」という物質が
カップ麺の中に溶け出してきます。
「ポリスチレン」で容器を作る時に、
一定数、子どものまま成長できない
「スチレンオリゴマー」が発生してしまうのです。
別にかわいそうな話をしているわけではありません(笑)
そんな「スチレンオリゴマー」は、
「ポリスチレン」ほど、熱にも強くないので、
熱湯がそそがれると、
容器から、徐々に溶け出してきてしまうのですね。
そして、
溶け出した「スチレンオリゴマー」が、
ラーメンや焼きそばに混入し、
さらに、それを食べた我々の体内に、
「スチレンオリゴマー」が
入ってきてしまうというわけですね。。
ちなみに、
韓国でおこなわれた調査では、
「スチレンオリゴマー」だけでなく、一部の容器からは、
「スチレンオリゴマー」のさらに、子どものような物質の
「スチレン」や「ベンゼン」といった物が
溶け出していることが報告されています。
「スチレンオリゴマー」はともかく、
「スチレン」や「ベンゼン」は、さすがにヤバい気がします・・・
値段の高いカップ麺と、やたら安いカップ麺の差が
どこにあるのか、なんとなくわかる気がしますね。
というわけで、
カップ麺の容器からは、
「スチレンオリゴマー」、
運が悪ければ、
「ベンゼン」や「スチレン」が
入っているというわけです。
スチレンオリゴマーにおける安全性とは?
さて、今回、
安全性について取り上げる「スチレンオリゴマー」ですが、
当然ながら、誰が見てもわかるような「毒性」はありません。
おそらくですが、
カップラーメンのお汁を飲み干したら、
体中がしびれて動かなくなった、
などという人はいませんよね?
なぜなら、
カップ麺の容器に使われる材料は、
食品衛生法のルール上、「毒性」がある場合、
使用することができないからです。
というわけで、
ここで取り上げる「スチレンオリゴマーの安全性」については、
「毒性」ではなく、「内分泌かく乱性」の話になります。
「内分泌かく乱性」が、よくわからない方は、
↓の関連記事を先に読んでおきましょう。
では、「内分泌かく乱物質」について、
簡単に復習しておきましょう。
「内分泌かく乱物質」とは、
化学物質でありながら、
女性ホルモンや男性ホルモンのような
「ホルモン物質のふり」ができる物質
ということになります。
そして、
「ホルモン物質のふり」をした
「内分泌かく乱物質」は、
人間の「ホルモン受容体」と
勝手に結びついて、悪さをします。
人の体内の「ホルモン物質」は、
ほんの少量でも、成長や発毛なんかに
影響を与えますよね。
「内分泌かく乱物質」も「ホルモン物質」と同様で、
ほんの少しの量であっても、
体に入り続ければ、我々の体に少しずつ
影響を与えてしまうということがわかっているのです。
ちなみに、
日本の環境庁は、2000年に、
「スチレンオリゴマー」を内分泌かく乱物質のリストから
除外しているわけですが、
残念ながら、日本国の内分泌かく乱物質に対する認識は、
先進諸国とは、少しズレがあるようです。
というわけで、
ここからは、
「カップ麺から溶け出す物質」もとい、
「スチレンオリゴマーの内分泌かく乱性」について、
取り上げていきましょう。
スチレンオリゴマーは安全なの?
確かにスチレンオリゴマーは性ホルモンの働きはしないようだが
我らが日本国の環境庁が、
「スチレンオリゴマー」を内分泌かく乱物質のリストから
除外した、という話に先ほどふれましたね。
しかし、
いくら日本国の「内分泌かく乱物質」への認識が
先進諸国とズレがあると言っても、
もちろん、何の根拠もなく、
有害な物質をリストから除外したりはしません。
確かに、いくつかの研究で、
「スチレンオリゴマー」は、
男性ホルモンや女性ホルモンのような
「性ホルモンのふりをして、悪さをしない」
という報告がなされています。
2000年代の前半の少し古い研究が多いわけですが・・・
2019年のゲーテ大学の研究を見てみても、
同じ傾向が見て取れます。
しかし、
人間の体の中で、
「ホルモン物質」と言えば、
「性ホルモン」だけではありませんよね。
というわけで、
「スチレンオリゴマー」については、
「性ホルモンのふり」をして悪さをしないと
考えてもよいのかもしれません。
ただし、
勘違いしてはいけないのは、
「内分泌かく乱性」とは、
「男/女性ホルモン」のふりをして
悪さをする性質だけを指すわけではないということです。
確かに、
「内分泌かく乱物質」のせいで、
メダカのオスがメスに変わってしまった、という話は
なかなかにショッキングではありますけどね・・・
ちなみに、
「内分泌かく乱物質」が、体内で、
女性ホルモンのように働くことを「エストロゲン活性」、
男性ホルモンのように働くことを「アンドロゲン活性」
と言います。
なんとなく、イメージできるかもしれませんが、
体内で、「エストロゲン活性」が強くなれば、
乳がんのリスクが高まることが知られていますし、
「アンドロゲン活性」が強くなれば、
前立腺がんのリスクが高まることが知られていますね。
これらのリスクを高めることが、
「内分泌かく乱物質が危ない」と言われる理由の一つです。
スチレンオリゴマーは甲状腺ホルモンに影響を与える!?
さて、
カップ麺の容器から溶け出す
「スチレンオリゴマー」については、
体内で、男性ホルモンや女性ホルモンのような
「性ホルモン」のふりをして悪さをする性質は
なさそうだという話をしてきました。
しかし、
人間の体内にあるホルモン受容体は、
「性ホルモン」の受容体だけではありません。
どうやら、
「スチレンオリゴマー」は、
「甲状腺ホルモン」に影響を与えるかもしれないという
研究報告があります。
「甲状腺ホルモン」・・・
なんとなく聞いたことがあるかもなぁ・・・
くらいの認識ですよね。
「甲状腺ホルモン」に悪い影響が出ると、
代謝機能が混乱し、肥満症になってしまうことなんかが
知られていますね。
カップラーメンばかり食べている人が太っているのは、
もしかしたら、
食生活が乱れたり、意志が弱いからという
理由だけではないのかもしれません。
さらに言えば、
「甲状腺ホルモン」は、
子どもの脳の発達にも重要な影響を与えることもわかっています。
お子さんには、特に気を付けてあげてくださいね。
簡単に研究報告も見ておきましょう。
人間ではなく、マウスの研究ですね。
「普通のマウス」と、
「甲状腺ホルモンの受容体が欠損したマウス」を
用意して、
「スチレンオリゴマー」の溶液を4日間、
飲み続けてもらうという実験ですね。
「普通のマウス」は、
血液の中の甲状腺ホルモンのレベルが上昇しましたが、
「甲状腺ホルモンの受容体が欠損したマウス」は、
甲状腺ホルモンのレベルが変わらなかったとのことです。
つまり、
「普通のマウス」は、
「スチレンオリゴマー」が悪さをしたことで、
「甲状腺ホルモン受容体」の機能が邪魔されて、
血液中に「甲状腺ホルモン」が増えてしまったという
解釈のようです。
少しむずかしい話でしたね。
とりあえず、
「スチレンオリゴマー」が
「甲状腺ホルモン」に影響を与える可能性があるということが
わかってもらえればと思います。
「スチレンオリゴマー」のような
「甲状腺ホルモン受容体」に悪さをする物質たちのせいで
アメリカやヨーロッパに肥満の子どもたちが増えているという
話は近年、有名になってきています。
カップ麺の容器は体に悪いのか?
今回は、
「カップ麺の容器は体に悪いのか」
について取り上げました。
簡単に話をまとめていきましょう。
たいていのカップ麺の容器は、
「ポリスチレン」というプラスチックからできています。
そして、
お湯を注ぐとそこから溶け出すのが、
「スチレンオリゴマー」でしたね。
「スチレンオリゴマー」は
「内分泌かく乱物質」です。
「内分泌かく乱物質」は、
体内で「ホルモン物質のふり」をして、
悪さをします。
特に、
「スチレンオリゴマー」は、
「甲状腺ホルモン」に影響を与えるかもしれない
ということをみてきました。
「スチレンオリゴマー」のような
「甲状腺ホルモン」に影響を与えうる物質が
アメリカやヨーロッパでは、子どもたちを肥満にしているという見方も
世の中にあることが知っておかなければなりません。
おそらくですが、
なんとなく体に悪いかも・・・
という嗅覚が、あなたに働けば、
その感覚は意外と正しいのだと思います。
直感的に「体に悪いかも」と感じたものについては、
やはり、立ち止まって、
少し調べてみるのもいいかもしれませんね。
その積み重ねが、
あなたやあなたの子ども・家族の将来を少しずつ
良い方向に導いていくのだと思います。