日本のお茶には、
残留農薬がたくさん含まれている!
少し話題になりましたよね。
2021年に
週刊現代の記事に対して、
農薬工業会が痛烈に反論の見解を示しました。
「農薬工業会」という
きちんとしていそうな組織が
正式に反論をしたことで、
お茶、やっぱり大丈夫なんじゃん!
と安心した方も多いことでしょう。
今回は、
この問題を
少し蒸し返してみようと思います(笑)
というわけで、
「日本のお茶の残留農薬は本当に大丈夫なのか」
について、
私なりに取り上げていきます。
日本のお茶の農薬まみれ問題、デマではない!?
さて、結論からです。
「日本のお茶の農薬まみれ問題は、
デマで片づけてはいけないのでは?」
というのが、今回の私の結論(意見)です。
実は、私は、どちらかというと、
週刊現代さんに近い意見を持っている者です。
そして、
農薬工業会さんの反論が、
『・・・残留基準値以内の食品を飲食しても健康上の問題を生じません。』
の文言で締めくくられていることについて、
えっ、そこまで言い切っちゃうの、すごいな・・・
大丈夫なのかな・・・
と、感心を通りこして、少し心配をしています。
私であれば、
人の健康に関することについて、
こんなにはっきりと
「大丈夫です!」
と言い切る勇気はありません。
しかも、
特にネオニコチノイドのような殺虫剤については、
長期的な安全性については、
しっかりと確認できていないというのに、です。
・・・ここからは、私の持論ですが、
「企業」や「利権を得ていそうな団体」の言うことは、
全面的に信じてはいけないと思っています。
ちなみに、
「農薬工業会」さんは、
農薬の製造業者によって、
組織されている団体です。
企業や団体が、
自分たちが取り扱う商品について、
ネガティブな情報を
発信するでしょうか?
農薬の製造業者さんが、自分で、
「実は、農薬は危険なのです!」
と白状しながら、
農薬を売るでしょうか?
そんなことをしたら売上が減ってしまいますよね?
(タバコについては、健康への注意表示がありますが、それは例外です)
というわけで、
「農薬工業会」さんの自己弁護は、
いくらかの事実も含んでいますが、
話半分くらいで聞いておきましょう。
もちろん、あおり上手な週刊誌のお話も
話半分で聞いておくべきかと思います。
という中立アピールの前置きをしたところで、
本題に入っていきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
日本のお茶の残留農薬の基準がゆるいのは事実
さて、
「日本のお茶の農薬まみれ問題」を整理すると、
論点は、↓の2点になるかと思います。
1、日本茶の農薬の残留基準値は、ゆるいのか
2、そもそも残留農薬は、体に悪いのか
まず、
1点目の
「日本の農薬の残留基準値がゆるいのか」について、
見ていきましょう。
残念ながら、
「日本茶の残留農薬の基準がゆるい」のは、
事実です。
残留農薬基準値検索システムを参考に
「茶」について、
ネオニコチノイド農薬の残留基準値を
調べてみましょう。
ネオニコチノイド農薬に分類される農薬は、
7つあります。
日本の残留基準値については、
↓のような感じになっています。
〇日本の残留基準値
ジノテフラン:25ppm
クロチアニジン:50ppm
イミダクロプリド:10ppm
チアメトキサム:20ppm
アセタミプリド:30ppm
チアクロプリド:25ppm
ニテンピラム:10ppm
数字を並べられてもよくわからないと思いますので、
ヨーロッパの「Teas(お茶)」の残留基準値も、
EUの農薬データベースで調べてみましょう。
データベースによれば、
ヨーロッパのお茶に関する残留基準値は、
↓のような感じですね。
〇ヨーロッパの残留基準値
ジノテフラン:0.01ppm
クロチアニジン:0.7ppm
イミダクロプリド:0.05ppm
チアメトキサム:20.0ppm
アセタミプリド:0.05ppm
チアクロプリド:10.0ppm
ニテンピラム:0.01ppm
比べてみると、
確かに、
お茶の残留基準値は、
日本の方が、ゆるめのようです。
「ジノテフラン」に至っては、
ヨーロッパよりも、日本の方が、
2,500倍もゆるい、というのも
間違いではありませんね。
この事実に対して、
農薬工業会さんは、
ADIだの、ARfDだの、
むずかしい言葉を使って、
いろいろと反論しています。
ただし、
お茶について言えば、
日本の残留基準値は、
ヨーロッパよりも、
かなりゆるいということは、
事実の一つであることが、
確認できましたね。
ですので、
残留農薬を少しでも避けたい!
という方は、
お茶を飲む量や頻度を
少し減らす必要があると
言えそうです。
お茶の残留農薬は体に悪いのか?
さて、
「日本のお茶の残留農薬の基準が、ヨーロッパよりもゆるい」
ということは、確認できましたね。
では、
「日本のお茶の農薬まみれ問題」の
2つ目の論点を見ていきましょう。
1、日本茶の農薬の残留基準値は、ゆるいのか
2、そもそも残留農薬は、体に悪いのか
2点目は、
「そもそも残留農薬は、体に悪いのか」
ですね。
実際のところ、
ここが最も重要であり、
専門家の方々の意見も分かれるところでしょう。
残留農薬が体に悪くないのならば、
そもそも、残留基準値が
高いだの、低いだのと
議論をすること自体が
まったくの無意味になります。
この辺りの議論については、
「週刊現代」さんの話も、
「農薬工業会」さんの話も、
微妙に正しくないように
私には思えています。
ちなみにですが、
私は、基本的に、
「残留農薬は体に悪いのでは?」
という意見を持っています。
では、これについて、
くわしく見ていきましょう。
人間と昆虫の神経系は、同じではない?
まず、
「ネオニコチノイド農薬」が、
「昆虫には、よく効く」のに対し、
「人間には、ほとんど効果がない」というのは、
一つの事実とされています。
「週刊現代」さんの記事によれば、
「虫と人間の神経系の構造が変わりません」
とのことですが、さすがにそんなことはありません。
確かに、
神経系の構造について、見てみれば、
ネオニコチノイド農薬と関係の深い「ニコチン性アセチルコリン受容体」という器官は、
人間も、昆虫も、もっています。
しかし、
「ニコチン性アセチルコリン受容体」の有無だけを見て、
「虫と人間の神経系の構造が変わりません」と言ってしまうのは、
さすがに、少し乱暴だと思います。
というわけで、
昆虫と人間の神経系は、
もちろん、まったく同じ構造ではないので、
昆虫にも、人間にも、
農薬が同じような効果を発揮することはありません。
では、
ネオニコチノイド農薬は人間に対して、無害なのか?
と言われると、
私は、そうは思っていません。
そこが、
農薬工業会さんの意見に同意できないポイントですね。
残留農薬は微量でも、無害とは言えない?
さてさて、
農薬工業会さんのお話をまとめると、
「毒性試験で安全が確認されているので、
残留基準を超えなければ健康上の問題は生じない」
とのことです。
そして、
この考え方こそが、
私が最も気になっている点です。
「残留農薬は、基準値を守っていれば無害なのか?」
ということですね。
「ネオニコチノイド農薬」のような薬剤は、
生き物の「神経系」に結びつくことで、
その効果を発揮します。
そして、
生き物の「神経系」は、
ほんの少ない量の「神経伝達物質」が結びつくだけで、
体中に情報を伝えるものです。
このことから考えた場合、
人間の「神経系」に、
「ほんの微量のネオニコチノイド農薬」が、
結びついた場合にも、
人体に絶対に何も影響はないと、
言い切ることはできるのでしょうか。
「ほんの微量」というところが、
とても重要ですね。
現代の毒性試験では、
「量が多くなればなるほど、毒性は強くなる」という
常識にとらわれています。
そのため、
「量がほんの微量の時に、あらわれる毒性」については、
見逃されることが多いのです。
「量がほんの微量の時に、あらわれる毒性」・・・
何を言っているかわかりませんかね(笑)
例えば、
あなたは、飲み会で、
たくさんお酒を飲んだ時、どんな風になりますか?
酔っぱらいに、酔っぱらった後には、
気持ち悪くなってしまいますよね。
これは、
アルコールが分解された後に、
「アセトアルデヒド」という毒性物質が
発生するからです。
しかし、
もし、あなたがそこそこの酒豪であるならば、
「ほろよい」をちょろっと飲んだくらいでは、
酔っぱらうこともなく、
気持ち悪くなることなどもないはずです。
このように、
飲む量が少なければ、
お酒は、毒には、ならないようですね。
なぜなら、
「毒の量が少ないから」です。
これが、「現代の毒性学的な考え方」です。
これに対して、
「ネオニコチノイド農薬」は、
「ほんの微量の成分」が、
「生き物の神経系に結びつく」ことによって、
その効果を発揮します。
つまり、これは、
「ネオニコチノイド農薬」は、
ほんの微量でも、
人間の神経系に結びついて影響を与える
可能性があることを
意味しますよね。
「神経系」が、
「ほんの微量のネオニコチノイド農薬」を
「神経伝達物質」と勘違いして、
結びついてしまうわけです。
もし、この時、
「ネオニコチノイド農薬」が、
アルコールのように、何百mlもあれば、
人間の神経系は、
「ネオニコチノイド農薬」のような物質を
神経伝達物質であると勘違いしないという
研究報告もあるようです。
もちろん、
「ネオニコチノイド農薬」を
お酒のように何百mlも飲んでしまったら
現代の毒性試験の結果によれば、
ガンになってしまうようですが。。。
つまり、
ネオニコチノイド農薬は、
「微量しか存在しない場合」と
「大量に存在する場合」で
毒性の発現の仕方が異なることがあり得るわけです。
ですので、
お茶に残留農薬が基準値しか入っていないから
と言って、安心してはいけないわけですね。
ちなみに、これを
「低用量作用問題」と言います。
少しむずかしかったかもしれませんね。
一言で言うと、
「農薬は、微量でも大量でも危険かもしれない」
ということです。
そして、
農薬工業会さんは、
ネオニコチノイド農薬が、
「大量に存在する場合」の話にしか、
注目していません。
ここが、
私と農薬工業会さんの
意見の違いとなります。
「ネオニコチノイド農薬」については、
くわしくは↓の関連記事まとめていますので、ぜひご覧ください。
結局、お茶の農薬、安全性ってどうなの?
今回は、
「日本のお茶の残留農薬は本当に大丈夫なのか」
について見てきました。
個人的には、
「大丈夫ではない」
という認識を私はしています。
とりあえず、
確認できたのは、
お茶については、
日本の残留基準値は、ヨーロッパよりも
かなりゆるいということでしたね。
ただし、
それだけで満足してはいけません。
重要なのは、
「残留農薬が体に悪いかどうか」
ですよね。
これについては、
私は、「残留農薬は体に悪い」と思っている派の人間です。
農薬は、もちろん、
大量にさらされれば、
病気になってしまいます。
しかし、それに対して、
微量の農薬にさらされ続けた場合にも、
少しずつ、私たちの体は影響を受けていくのではないか
といった考え方があることも忘れてはいけません。
知らなかった!聞いていない!
と後から、憤ったところで、
あなたやあなたの家族の健康に対して、
責任を取ってくれる人は、どこにもいません。
残留農薬のリスクを知ってしまった以上、
身を守る選択をするか否かは、
あなた次第です。
もちろん、
金輪際、お茶は飲まない!
という極端な選択をする必要はないと思います。
ただ、
私やあなたが、
少しずつ、残留農薬を避けるための
行動を続けることが、
消費者の健康に対して、
無責任な企業たちの意識を変えることに
つながる可能性もあります。
大事なのは、我々消費者が、
少しずつ賢くなっていくことだと
私は思っています。
さて、
今回のような残留農薬のような物質は、
「内分泌かく乱物質」と言って、
近年少しずつ注目を集めています。
良ければ、
↓の関連記事もご覧になってくださいませ。