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『THE FIRST SLAM DUNK』原作読んでない?でも超面白い!【レビュー】

楽しかったモノ・コト

今回は、
『THE FIRST SLAM DUNK』をレビューしていきたいと思います。

ちなみに、私は、
原作『SLAM DUNK』を呼んだことがあるわけではなく、
アニメを見たことがあるという程度の認知度です。

事前情報としては、
”桜木花道を、木村昴さんが演じる”というのを、
聞き知っていた程度です。

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『THE FIRST SLAM DUNK』とにかく面白い!

さて、
本作の感想を一言で表すとすれば、
映画館で見る価値が、本当にあると思ったアニメ映画は初めて!
です。

ちなみに、
私は、動画配信サイトで視聴してしまいました。

同じ映画を何度も見るタチではないのですが、
復活上映に行くかどうか、迷っているレベルです。

それでは、レビューしていきます。

『THE FIRST SLAM DUNK』の主役は、あくまで”物語”!?

本作を見始めて、数分後、
「えっ・・・?」と、
違和感を覚え始めます。

その違和感の正体には、すぐに気づきました。

過去のアニメ版作品を見てきた私にとってのとてつもない違和感・・・。

それは、
「各キャラクターの個性が、かなり薄められていること」です。

まず、
キャラクターたちの声に特色がないのです。

「声優陣の変更が、完全に裏目に出たか・・・」
と少しヒヤリッとしたのが、印象に残っています。

流川楓に至っては、
開始から、10分程、経つまで、
「もしかして、ルカワ、試合に出てない!?」
と錯覚を覚える程、存在感が薄いのです。

「これは、ひどいかも!」
と、がっかりしかけたのも、つかの間。

その心配も、杞憂に終わります。

開始から30分程経った頃、
これは、おそらく、
声優陣が、あえて、個性を抑えることで、
”物語”を引き立てることに徹しているのではないかと、
思い直し始めました。

なんと、
本作の中心人物は、
意外なことに、”桜木花道”ではなく、
”宮城リョータ”だったのです。

確か、遠い昔、
「宮城リョータを主人公にした続編が作られている」というウワサを
耳にしたことがありましたが、
実は、これが本作のことだったのでしょうか?
(関係なかったら、すみません。)

さて、
本作は、主に、
”宮城リョータの過去”と、
原作の山場である”湘北vs山王戦”を交互に描きながら、
進んでいきます。

宮城リョータに、
ここまでの”暗く悲しい過去”、そして、”負けられない理由”があったとは、
とても驚きです。

アニメ版でも感じていましたが、
宮城リョータは、
そこまで、目立ったキャラクターではありません。

やはり、
ポジションがポイントガードであるという点で、
本作の題材であるスラムダンクを華やかに決める場面が、
ないためでもあるでしょうか。

そんな目立たない宮城リョータが、
背が低く、際立った才能がない中で、
果敢にバスケットボールというスポーツに立ち向かう”物語”に
スポットライトを当てたのが、本作です。

つまり、
実は、本作にとっては、
天才シロート・桜木花道の奇行も、特徴的な声も、
単なる”雑味感の強いスパイス”でしかないのです。

極めつけに、
エンドロールの声優陣紹介では、
”宮城リョータ”の名前が、一番上に記されていますね。

そのため、
本作では、”宮城リョータの物語”を可能な限り、
高い純度で仕上げるように、
各声優陣は、かなりバランスをとることを心がけながら、
キャラクターを演じられたのではないかと感じました。

そういった意味では、
本作で、一番むずかしい演技を求められたのは、
意外にも、桜木花道を演じた木村昴さんだったのかもしれませんね。

まさか、
『SLAM DUNK』を見ていて、
ヒューマンドラマで感動させられるとは、
思っておらず、
良い意味で、完全に不意打ちを食らった気分です。

おかげで、
あっという間の2時間でした。

『THE FIRST SLAM DUNK』の”リアル”は、相当の仕上がり!

本作は、
とにかく、”リアル”を丁寧に追求された作品だと感じました。

まず、本作が始まって、
10分もたたない内に「おっ!?」と感じました。

本作は、
昔のアニメ『SLAM DUNK』を知る者からすると、
完全に”別物”であることが、認識させられるはずです。

”バスケットボールというスポーツの細かい動作”
”選手たちの視線の動き”
”汗の一粒一粒”
”ボールの影”に至るまで、
画面を目いっぱいに使い、
作品のすみずみまでの全てがリアルに描かれているのです。

バスケットシューズが床とこすれる、
「キュッ!キュキュッ!」という音のバックで、
くぐもって聞こえる「ディーフェンス!ディーフェンス!」という掛け声の演出には、
関心させられました。

自分がコートの上の一番近いところで、
試合を一緒に体験しているのではないかと
錯覚させられるようなものすごい臨場感、
そして、無駄のない演出です。

過去のアニメ版では、
ベンチメンバーが「ディーフェンス!ディーフェンス!」と、
やたらと叫んでいたのが、耳に残っていたので、
「すごい演出の進化だなぁ・・・」と感じたのが、印象に残っています。

アニメの表現技術は、昔と比べると、
恐ろしく進歩しているのかもしれませんね。

『THE FIRST SLAM DUNK』面白くないと感じたところ

原作の感動は、薄まっている!?

本作について、
不満があるとすれば、一つです。

原作『SLAM DUNK』の屈指の名シーンと言えば、
どこなのでしょうか?

それは、原作を読んだことがない私ですら、知っている
「流川楓と桜木花道がタッチを交わすシーン」ではないでしょうか。

この場面は他の漫画などでも、
パロディにされているほど、
認知度が高いシーンです。

しかし、
このシーンが呼んだ感動は、
あくまで原作の作中を通して、
流川と桜木が、犬猿の仲であることが、
描き続けられてきた積み重ねがあってこそ、
成り立つものなのではないでしょうか。

本作では、
キャラクターの個性がかなり薄められている上に、
桜木花道は、主人公ではありません。

確かに本作の中では、
桜木が流川にパスを出すことを拒むシーンなどがあるものの、
なんだかちょっと仲が悪そうだな、くらいの印象です。

しかも、
あの桜木の態度だけを見ていれば、
流川が少しくらい冷たい態度を取るのも納得できてしまいます。

そんな二人の関係性がきちんと
描き切られていない本作では、
どうしても、あのタッチシーンで、
原作と同じ感動を呼ぶのは、
やはりむずかしかったのではないでしょうか。

原作の試合の構成上、
改変が効かないのは、わかりますが、
個人的には、このシーンだけは、
どうも、うまく物語の焦点が合い切らず、
ちぐはぐに見えてしまったと言わざるを得ない感はありました。

演出技術と、試合の展開の勢いで、
押し切ったようにも見えました。

この場面は、
原作切っての名シーンかと思いますので、
少し残念に思うところもありますが、
本作の仕上がりを、台無しにするほどではないと思います。

ただ、
「まったくSLAM DUNKを知らない人」や「原作の熱狂的なファン」の目には、
どんな風に映るのかな・・・?
と少し不安にも思えるシーンでは、ありました。

作品のテーマそのものを、
変えてしまうと、
原作のどこかが犠牲になってしまうということですかね。

コア層とライト層の視聴者のバランスをとった結果とも言えるかもしれませんが、
全体的には、絶妙なバランス感覚だったと思っています。

ちなみに、申し添えておきますが、
私、個人としては、
本作は、最近、見た映画の中では、
一番、満足できる出来だったと思っています。

『THE FIRST SLAM DUNK』はどんな映画?

『THE FIRST SLAM DUNK』の基本情報

  • 公開日: 2022年12月3日
  • 監督: 井上雄彦
  • オープニング主題歌: 「LOVE ROCKETS」 by The Birthday
  • エンディング主題歌: 「第ゼロ感」 by 10-FEET
  • 興行収入: 158.7億円
  • 復活上映: 2024年8月13日から全国で再上映

『THE FIRST SLAM DUNK』の声優陣

  • 宮城リョータ: 仲村宗悟
  • 三井寿: 笠間淳
  • 流川楓: 神尾晋一郎
  • 桜木花道: 木村昴
  • 赤木剛憲: 三宅健太
  • 木暮公延: 岩崎諒太
  • 彩子: 瀬戸麻沙美
  • 安西光義: 宝亀克寿
  • 赤木晴子: 坂本真綾
  • 水戸洋平: 小林親弘