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【核融合発電】実用化は不可能なの?無限のエネルギーは得られるのか

楽しかったモノ・コト

核融合発電』って
ご存じですか?

水素から、
無限のエネルギーが生み出せる夢の技術です。

一説によると、
ノートパソコンのバッテリーのリチウム」と
バスタブ半分の水
があれば、
石炭40トン」分の
エネルギーが作り出せるといわれています。

本当なら、
どこかの怖い国から、
石油や天然ガスを買う
必要もなくなりそうです。

えっ、でも、
「核」融合なんて言うから
危ないものなんでしょ!?

と思いましたよね。

これが、
「安全」で
しかも、
「クリーン」だというから
またすごい話です。

そんな都合のいい話があるの?
と疑われるのも無理はありません。

さて、この夢の技術、
いったい、いつできるんでしょう?

ということで、今回は、
核融合発電って実用化できるの?
について、
取り上げようと思います。

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核融合発電の実用化は不可能なの?

さっそくですが、
「核融合発電」は、
不可能ではありません。

実は、すでに
「核融合炉」も存在しています。

しかし、
実用化」となると、
まだまだ研究が必要なわけです。

では、
くわしく見ていきましょう。

核融合発電のしくみ

それでは、はじめに、
現在、研究されている
核融合発電のしくみ」を
見ていきましょう。

話はすごく簡単です。

まず、
水素原子」と「水素原子」をぶつけて、
ヘリウム」を作ります。

そして、
水素」が「ヘリウム」に変わる時に
膨大なエネルギーが放出されるため、
そのエネルギーを発電に使う

というわけです。

しかし、
化学の心得がある方なら
「あれ?」
と思われたかと思います。

「水素原子」と「水素原子」が
組み合わさってできるのは、
「水素分子」だよね?

と思われたはずです。

そうです。
当然、普通に反応を行えば
「水素」が「ヘリウム」に変わるなどという
ことは起こりません。

つまり、
普通ではない状態」で
反応をさせることで、
「水素」が「ヘリウム」に変わるわけです。

そして、
この「普通ではない状態」を作り出すのが
とてつもなく、難しいのです。

だから、
「核融合発電」は、
なかなか実用化されないのです。

現在は、
鋭意、研究が進められている段階です。

核融合発電の課題―何が難しいの?

「核融合反応」というのは、
何がそんなに難しいのでしょうか?

それは、やはり、
反応の条件を作り出すこと
です。

ということで、
次は、
核融合がどのようにして起こるのか
というところから、
見ていきましょう。

こちらも話は簡単です。

」は、
冷やすと「」、
常温だと「」、
沸騰したら「水蒸気
になりますよね。

個体⇔液体気体
いわゆる「物質の三態」というやつです。

しかし、
化学の世界では、
物質は、この3つの状態だけに
とどまりません。

気体」を
さらに、どんどん熱くしていくと
プラズマ
という状態になります。

この「プラズマ」状態は、
簡単に言うと、
原子の構造がめちゃくちゃになっている
状態です。

そして、その
原子の構造がめちゃくちゃになっている」状態で、
水素」と「水素」が
うまくぶつかると、
ヘリウム」が
出来上がるというわけです。

なので、
ものすごく簡単に言うと、
「水素」を、
とにかく、熱くすれば、
「核融合反応」は起きるわけです。

「熱く」というのは、
1億℃くらいなわけですが。。。

なんだか
そこまで難しくない気がしますよね。

しかし、
次の問題は、
「水素」を熱くするための
エネルギーはどこから来るの
・・・
という話になります。

「発電」なので、
使うエネルギー>生まれるエネルギー
だと本末転倒です(笑)

ですので、
使うエネルギー<生まれるエネルギー
を目指して、
研究が進められているというわけです。

現在、すでに、
欧州トーラス共同研究施設では、
反応に使うエネルギーに対して、
60~70%のエネルギーの発電を

達成しているそうです。

欧州トーラス共同研究施設(JET)の磁気核融合実験(wikiペディアより)

さらには、
アメリカの「ロッキード・マーティン」という武器の会社は、
稼働がもう目前の核融合炉があるという内容の
発表をおこなっています。
(詳細は秘密のようですが・・・)

もしかすると、
核融合発電の実用化は、
意外に近い将来かもしれませんね。

核融合発電の危険性―心配事はないの?

さて、
水素から膨大なエネルギーが取り出せる
「核融合発電」。

本当に心配事はないの?
と、やはり気になりますよね。

「核」と名前につくわけですし、

・メルトダウンは起きないの?
・放射性廃棄物が出るんじゃない?

と、このあたりは、
やはり気になるところですよね。

これらも見ていきましょう。

メルトダウンの心配は?

いわゆる従来の「原子力発電」でおこなわれるのは、
核分裂による発電」です。

福島の原子力発電所では、
悲惨な事故が起こりました。

これは、
原子炉の機能が停止してしまい、
一度始まった反応が止められなくなったために
起きてしまった事故だと言われています。

核融合発電では、
同じようなことは
起きないのでしょうか。

これについては、
心配はいらない
とされています。

くり返しになりますが、
核融合というのは、
反応を起こすのが、
とても難しいのです。

もし、
地震などの事故で
核融合炉の機能が止まってしまった

場合を考えてみましょう。

核融合の反応で重要なのは、
・高温
・真空
です。

もし、
原子炉の機能が停止すれば、
たちまち
これらを保てなくなってしまいます。

すると、
核融合反応は、
ろうそくの火が消えるように
吹き消えてしまうのです。

それだけ、
反応を維持するのが
難しいということです。

むしろ、逆に考えれば、
災害などでは、
電力供給が不安定になってしまう方が
心配かもしれません。

放射性廃棄物は出ないの?

次は、放射性廃棄物について、
見ていきましょう。

従来の原子力発電では、
どうしようもない廃棄物が、
発電と一緒に生産されてしまいます。

そして、
我々は、それを地下深くに埋めて
問題を解決した気になっているのです。

とても
環境にやさしいとは、
言えない発電方法ですね。

では、
「核融合」についてはどうでしょう?

残念ながら、
核融合についても、
放射性物質は、
発電時に、生まれてしまいます。

しかしながら、
ここからが核融合発電のいいところです。

核融合においては、
放射性トリチウム」という放射性物質が
発電時に、生み出されます。

この「放射性トリチウム」は、
核融合に使う「水素」の親戚のような
物質です。

「放射性トリチウム」には、
少しの間、放射能がありますが、
時間がたつと危険はなくなります。

なので、
最終的に、
この「放射性トリチウム」は
発電の燃料として
再利用できるようになるというのです。

これなら、
最近、はやっている
「再生可能エネルギー」といえるでしょう。

SDGsというやつですね。
すばらしいです。

さいごに

今回は、
核融合発電って実用化できるの?
について、
見てきました。

核融合発電の実用化は
早ければ、
2030年代には
可能ともいわれています。

「無限のエネルギー」を手に入れた時、
我々の暮らしはどう変わるのでしょう。

きっと電気の消し忘れで起きる
ささいなケンカはなくなることでしょう。

もちろん、それだけではありません。

エネルギーコストが下がれば、
さまざまな製品が安く作られるはずです。

働かなくても豊かに暮らせるかもしれません。

石油を奪い合う争いもなくなるでしょう。

きっとそこには平和な世界が
待っています。

未来に希望を持ちましょう。


さて、
ほかにも世界を変えるような技術
興味はありませんか?

よければ、↓のほかの記事にも
目を通してみてくださいね。

今回の参考文献

今回の参考文献は、

ケリー・ウィーナースミス, ザック・ウィーナースミス(2020).
『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、 3Dプリンターで臓器が作れるんだい!?』.
化学同人.

です。

本書は、
世界を変えるような技術について、
ユーモアたっぷりに
解説されています。

アメリカンな表現が多いですが、
なかなか面白いし、
勉強にもなります。