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ペットボトルから溶け出すもうひとつの有害物質「温かい」には要注意!?

その食品、安全性は?

さて、
以前、ペットボトルからは、
「フタル酸エステル」という有害物質が
溶け出すんですよ!

ということを記事で取り上げました。

その時は、
「フタル酸エステル」は、
各国で規制が進んでいる化学物質で、
とっても危ないんです!

という結論にさせていただきました。

しかし、どうやら
実は、ペットボトルから
溶け出す有害物質は、
なんと「フタル酸エステル」だけでは
なさそうなのです。

ペットボトル・・・
どんだけ危険なんだって話ですね(笑)

我々は
プラスチックとの付き合い方を
少し考えなおした方がいいのかもしれません。

ということで、
今回は、
ペットボトルから溶け出すもう一つの有害物質
を取り上げようと思います。

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ペットボトルからはアンチモンが溶け出す!?

今回も結論からいきましょう。

ペットボトルからは、アンチモンが溶け出す

というのが結論となります。

おそらくですが、
あなたの頭の中には、

アンチモンって何や・・・?」

という言葉が浮かんでいることだと思います。

それもそのはず、
一応、化学者の端くれである私ですら、
アンチモン」という物質に、
注目したのは、今回が初めてのことです。

というわけで、
「アンチモンって、何?」
というところから見ていこうと思います。

ペットボトルから溶け出すアンチモンって何?

それでは、
アンチモンとは何なのか?
というところから、見ていきましょう。

一言で言うと、
「アンチモン」は、
「半金属」元素の一つです。

高校化学的に表すと、
「すい、へー、りー、べー、ぼくのふね」で
言うところの51番目に出てくる元素
ということになります。

元素記号で言うと、「Sb」です。

まだ、ピンとは、こないですよね・・・


実は、「アンチモン」は、
元素周期表のヒ素の真下に当たる元素」なのです。

ここで、
高校の化学の授業を
きちんと聞いていた方なら、
少しピンと来たかもしれません。

元素周期表の上下に位置する元素同士は、
性質が似ているんですよね。

つまり、
「アンチモン」と「ヒ素」は
性質が似ているということになります。

「アンチモン」は、聞いたことがなくとも、
「ヒ素」は、なんとなくヤバそうだな、
というイメージはありますよね。

ペットボトルに、なぜアンチモンが含まれるのか?

ここまでの内容で、
「アンチモン」が何なのか、
ということについては、
少しわかってきましたね。

しかし、では、なぜ、
そんな聞いたこともないような元素が
ペットボトルに含まれているのでしょうか?

それは、
アンチモンが、
「ペットボトルの製造工程で使われるから」
なんです。

普段、よく使っている物なのに、
我々は、それがどのように作られているのか、
というところまでは、
よく知らないものですよね。


そして、残念ながら、
「アンチモン」は、ペットボトルを効率的に製造する上では、
わりと欠かせない存在なのです。

「アンチモン」は
いわゆる「触媒」という役割を果たす物質に当たります。

「触媒」は、
プラスチックを作る時なんかに、
原料に混ぜてやると、
化学反応が猛烈に速くなるというものです。

つまり、
ペットボトル入りの飲料を
我々が安く買えているのは、
「アンチモン」のおかげでもある
というわけなんですね。

たいていの「触媒」物質は、
危ないものだとは、わかっていても、
簡単には、代わりのモノが見つからないものです。

「アンチモン」についても、
危ないのは、わかっているけども、
安全で、安くて、代わりに使えるモノが見つからないため、
使われ続けているという話になるのでしょう。

アンチモンは、体にどんな影響を与えるの?

さて、
「アンチモン」の正体が徐々に見えてきましたね。

それでは、
そろそろ、「アンチモン」が我々の体に
どんな影響を与えるのか、
という最も肝心な部分に迫っていきましょう。

ちなみに、
日本では、
「アンチモン」が飲み物の中に、
0.005mg/L以上入らないように!

ということで、規制が行われています。

我らが日本国が規制をしている
物質ということは、
それなりに体に悪い物質である
ということになりますね。

アンチモンには毒性がある

食品産業センターのアンチモンの情報を見てみましょう。

アンチモンの毒性の欄を見てみると・・・

飲料による中毒の症例に、
「胃の灼熱感、せん痛、吐き気、嘔吐」が、
3時間から数日の範囲で起きたことが
記されています。

飲み物が酸性だと、
アンチモンが溶け出しやすいようですね。

もしかしたら、
ペットボトルにお酒を入れて、
保存したりというのも
かなりまずいかもしれません。

昔、知り合いに焼酎をペットボトルに入れて
保存していた方がいましたが、
あまりよくなかったかもですね。

アンチモンは女性ホルモンとして働く!?

どうやら、
「アンチモン」は、
「内分泌かく乱物質」としても
我々の体に作用するようです。

「内分泌かく乱物質」については、
↓の関連記事にまとめております。

「内分泌かく乱物質」は、
我々の体内で、
「ホルモン物質」の働きに
影響を与える物質のことでしたね。

アメリカの医師であるレナード・サックス先生が
2009年にまとめられたレポートを見てみると・・・


「アンチモン」は、
「強いエストロゲン活性を示す」ということが
報告されたことが取り上げられています。

「エストロゲン活性」とは、
「内分泌かく乱物質」が、女性ホルモンとして
働くことを指します。

女性ホルモンは、
乳がんのリスクとも関係があるホルモンとして、
有名ですよね。

いやいや、
ペットボトルに発がん性なんて大げさな・・・

と思われているかもしれませんが、
やはり、気をつけておくに
越したことはないかなと思います。

アンチモンは、高温ほどペットボトルから溶け出しやすくなる

さて、では、
「アンチモン」ができるだけ溶け出さないように
どのようなことに気をつけるべきかというところまで
見ておきましょう。

どうやら、
「アンチモン」は、
ペットボトルを高温で保存するほど、
溶け出しやすくなるようです。

これについても、
アメリカの医師であるレナード・サックス先生が
2009年にまとめられたレポートを参考にしましょう。

いくつか研究が取り上げられていますね。

米国でおこなわれた研究では、
「70℃で12日間」保存したところ、
「6ppbのアンチモン」が溶け出したことが
記されています。

6ppbというのは、
0.006mg/Lのことですね。

ですので、
日本の清涼飲料水の基準である
0.005mg/Lを上回っていることになりますね。

ちなみに、
80℃なら、7日間で、14.4ppbまで
溶け出してしまうようです。

というわけで、
高温でペットボトルの飲み物を保存するほど、
「アンチモン」が溶け出しやすくなるわけですね。

温かいペットボトル飲料を買う時は、
特に注意しておきましょう。

ペットボトルについては、アンチモンにも注意

さて、今回は、
「ペットボトルから溶け出すアンチモン」
について、取り上げました。

「フタル酸エステル」に負けず、劣らず、
きな臭い話でしたね。

「アンチモン」は
ペットボトルを作る時に
触媒として使われる「半金属」ということでした。

「毒性」も有するということで、
少し注意が必要なのかなぁとは感じますね。

「内分泌かく乱性」の観点からは、
「アンチモン」は、「強いエストロゲン活性」を
示すことも報告されています。

そして、
ペットボトルを保存している温度が高いほど、
「アンチモン」が溶け出しやすいことも
忘れてはいけません。

「あったか~い」のペットボトル飲料には、
そんなリスクもあるんだよ!
ということは覚えておいて損はないと思います。

ペットボトルから溶け出す「アンチモン」のように、
我々がなんとなく、
使っている物の中には、
意外な有害物質が含まれているかもしれません。

常に思考を停止させず、
身を守る努力をしていきたいものです。